学校を囲う塀なだけあって、コンクリートの冷たさがひやりと伝わってくる。
それと同時に左耳にはヒリヒリするものがある。
ふと、思い出したように、エドワードは顔を上げた。すると、私の頬に手を当てると、今日の通りニッコリ微笑む。
再度、エドワードが私の左耳に口元を近づける。
「はぁ」っと、大きく息を吸い込むエドワード。
私は耳を噛まれてからか、力が思うように入らない。
ただでさえ、こんな体なのに、声なんかも出るはずもなく、ただひたすらに感情よりも涙が流れている状態だった。
私はこの魔物を知っている。
昔、
よく童話で見た、
『ヴァンパイア』
というやつだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。