ここに来て、やっとレオに反応が見られた。
少し目を見開いたレオの眉間に、次にしわがよる。
『ガシッ』
私の手首を掴んだレオの手に物凄い力が入る。
かと思えば、部屋の鍵も開けずにドアを開けて、中にするりと私を連れて入っていく。
レオはまた黙ったままだった。かと思えば、ベッドに放り投げられる。
『バフッ』
私は即座に振り向き、レオを見る。
と、レオは私の両腕を掴み、仰向けになるのようにベッドに押し倒した。
レオの顔がまだ完治していない私の首元に近づく。
耳付近で小さく囁かれた、その言葉に((上等だ))と、掴まれた両腕に力を入れて必死に抗う。
足をバタバタと動かす。
が、ピクリともしない。
必死に抗う私を見下ろすようにして見ているレオは、「はぁ。」と1つため息をつく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!