レオが言うには、こうだった。
デオデットの身体は実に不便らしい。
人間はあらゆる魔物から、聖水を使用した儀式をする事で、魔物を防ぐ事ができる。
その効力は確実なもので、魔物は聖水の儀式をした人間に触れる事さえ出来ない。
けど、デオデットは違う。
襲った魔物の魔力の強弱によって、聖水の儀式を受けても効力が変わってくる。
私を襲った魔物はかなり大物だったらしい。傷口から、相当な魔力を吸い込んだのであろう。
レオが言い終わった頃には、私の目の前は真っ暗になっていた。
なんとなくは分かっていたはずなのに。
その後の言葉は分かった。
だから、私の寿命は…
無理に笑ってみせようかとも思ったが、そんな余裕は私には無かった。
(あぁ、やっと私がそれだけしか生きられない理由が分かったよ、お父さん、お母さん。)
『病気じゃなかった』、それは私にとって、決して望んでいたものでも無かったが、同時にそれは、私の寿命が確実に制限されているという証でもあるのが分かった。
つまり、もう、
どうにもならないんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。