第89話

私の身体 と 魔力.
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2018/04/03 23:13
レオが言うには、こうだった。

デオデットの身体は実に不便らしい。
人間はあらゆる魔物から、聖水を使用した儀式をする事で、魔物を防ぐ事ができる。
その効力は確実なもので、魔物は聖水の儀式をした人間に触れる事さえ出来ない。

けど、デオデットは違う。
襲った魔物の魔力の強弱によって、聖水の儀式を受けても効力が変わってくる。

私を襲った魔物はかなり大物だったらしい。傷口から、相当な魔力を吸い込んだのであろう。
レオ
結果的に、聖水の儀式をナギカワ あなた、本人の身体さえ嫌がる程になってしまったって事。
レオが言い終わった頃には、私の目の前は真っ暗になっていた。
なんとなくは分かっていたはずなのに。
レオ
さらに、デオデットは吸い込んだ魔力に応じて、脆くなる。
あなた

…え。

レオ
大物の魔物の魔力を吸収した…その反動で、身体がもたなくなってる。だから、ナギカワ あなたの寿命は、
その後の言葉は分かった。



だから、私の寿命は…
あなた

1年2ヶ月、か。

無理に笑ってみせようかとも思ったが、そんな余裕は私には無かった。

(あぁ、やっと私がそれだけしか生きられない理由が分かったよ、お父さん、お母さん。)
あなた

そっか…ただの、病気とかじゃ、なかっ、たんだ。

『病気じゃなかった』、それは私にとって、決して望んでいたものでも無かったが、同時にそれは、私の寿命が確実に制限されているという証でもあるのが分かった。



つまり、もう、












どうにもならないんだ。

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