第18話

chapter17 モトキの夢
545
2018/01/21 09:22
あなた「トキ、モトキ…?こんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
モトキ「んっ……?あれ、あなた…?」
うっすら目を開けると、あなたが腰に手を当てて、仁王立ちで俺の顔を覗き込んでいた。
白のチュニックにジーンズスカート。セミロングのダークブラウンの髪はサイドテールだ。そして、落ち着いた緑のエプロンをつけている。
……可愛いな……。
思わず見とれていると、あなたの顔が少しずつ赤く染まった。
あなた「なっ、どうしたの?あんまり見つめられると、恥ずかしいよ…」
モトキ「ごめんごめん、何でもない!(笑)」
正直に言えないところが、俺の悪い所。
あなた「ところで、今から暇?」
モトキ「えっ、まあ暇だけど…」
あなた「夕食でグラタンを作るんだけど、是非モトキと一緒に作りたいなーって。」
あなたと二人で…料理!?これは、またとないチャンスかもしれない。
俺は間髪入れずに答えた。
モトキ「勿論、やる!」
あなた「良かった!皆モトキは料理が上手いって言ってるから、一緒にしてみたいなって、思ってたの。」
モトキ「まあ、あなた程じゃ無いけどな…(笑)」
俺達は、台所に移動して、早速作り始めた。
あなた「モトキって、エプロン似合うよね!」
モトキ「まじ?ありがとう!」
普段は間違える筈も無い玉ねぎの焼け具合も、今日は鼓動のせいで、上手くいかない。
あなた「モトキ、モトキ!玉ねぎ焦げ始めてる!」
モトキ「うおっ!?ほんとだ…!ごめん!」
あなた「ううん、まだ大丈夫!」

あっという間にオーブンに入れるところまで来た。焼きあがったら終わってしまうと考えたら、永遠に続けばいいのに、と思ってしまう。
モトキ「あっ、マサイはチーズ苦手だから入れないでやって!」
あなた「うん、わかった!モトキはメンバーのこと良く見てるんだね。」
褒められたのが嬉しくて、笑顔が可愛くて。

あなた「かーんせい!」
モトキ「いぇーい!」
出来たてのグラタンは、白くホカホカと湯気をあげていて、美味しそうだった。
モトキ「じゃ、運ぶか!」
俺がお盆に手をかけた瞬間。
あなた「ま、待って!」
あなたが後から俺に抱きついてきた。
モトキ「……っ!?///」
あなた「あのね、モトキ…ずっと言おうとしてたんだけど……」
これってもしかして、って思った。
だったら、俺から……
俺はあなたの手を解き、向き直って肩に手を置いた。
あなた「……!?」
モトキ「俺から言わせて。俺は、高校の時からずっとあなたの事が、好きだ。」
あなたは目を白黒させている。
あなた「わ、私も……!私も、モトキが好きなの……!」


ピピピッ、ピピピッ……
モトキ「んう……?」
布団をゆっくり押し退けて、髪を結ぶ。
モトキ「せめて、夢だけでも……。」

プリ小説オーディオドラマ