あなた「えっ、ザカオのダンスのステージ?見たい見たい!」
ザカオ「あっ、本当?じゃあ、今週の日曜日は空けておいてくれよな!」
あなた「うんっ!」
よっしゃ!ダメもとでステージに誘ってみたら、思わずOK貰えた…!
決めてんだ、俺。もしあなたが俺のステージを見に来てくれたら……
あなた「いよいよ今日だね!楽しみだな〜、頑張ってね!」
ザカオ「うん!はい、これチケット。」
あなた「ありがとう♪」
あなたはトレーナーにスカート、スニーカーというラフな格好だ。ダークブラウンのセミロングはポニーテールだ。
思わず見とれているとあなたが首を傾げた。
あなた「な、なにかついてるかな…?」
ザカオ「う、ううん!何でも!さ、行こうぜ!」
会場はここからそう遠くない場所だ。野外ステージ、と言ったところだろうか。
ザカオ「んじゃ、俺は楽屋行くから…」
あなた「う、うんっ!頑張って!」
寂しそうな表情をしたように見えたのは、俺の見間違いだろうか。
あなたは俺に手を振って、一旦別れた。
ザカオ「ふぅ……っ。」
落ち着いて深呼吸。もうすぐステージが始まる。
司会者「続いてのパフォーマーはザカオ!イッツ・ショウ・タイム!」
司会者の合図と共に、音楽がかかる。
まずは軽くステップを踏んで、ウォーミングアップ。続いて床アクションを少し入れる。
そして、ブレイク。ここは一番の難関だが、上手くできた。
大体のパフォーマンスを終え、曲もラストのサビに入っていた。俺は最後のフリを踊らずステージの前に出た。
スタッフが物凄い顔をしている。わかっている。終わったら、しっかり謝ろう。
何処かわからないが、この会場のどこかに居る君へ。
届け……!
ザカオ「あなたー!好きだーー!!!」
リリリッ、リリリッ……
ザカオ「……ふぁぁ…」
俺にはそんな勇気、ねぇよなぁ……。
自嘲気味に笑って、俺はキャップを被った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。