充分楽しい時間を過ごした後、
俺は、二人と別れた。
ねおちゃんの家を出る。
冬だからか朝方なのに外は薄暗い。
薄暗い道を少し早歩きで、俺は藤枝の家に向かった。
早歩きで来たせいか少し息が上がる。
息を整えながら俺は家の中に入った。
藤枝はもう寝てると思い静かに家に入る。
するとそこには、冷えピタを貼った藤枝がソファに座っていた。
スマホに目を向けて、俺の方は一切見ずに淡々と告げる藤枝。
なぜかその時、俺はここに泊まりたいという言葉が言い出せなかった。
それがなんでかというと、藤枝の雰囲気がいつもと違っていたから。
何もかも捨てたような、暗い目。
希望なんてもの信じてないようなオーラ。
今の藤枝にはあまり近づきたくなかった。
俺は無言で外に出た。
次の日から、俺と藤枝の交流は一切なくなった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!