第44話

第43話
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2020/05/21 04:27
翌日。
お母さん
蓮斗くん、わざわざありがとう
13時ちょうどに、奏さんと孝太さんは現れた。
蓮斗
いえ。電話、すみません。忙しいのに...
お母さん
良いのよ笑
2人とも、元気なフリをしているけれど。
お父さん
もう病院には許可取ってあるから。行こうか
やっぱり少しだけ、声が沈んでいて。
俺も隠し切れて居ないんだろうな、なんて思いながら。
蓮斗
はい。ありがとうございます
お礼を言って、ついていく。
蓮斗
(もう、ここに来る事も...無いのか)
慣れた足取りで院内を歩けば、あっという間に病室の前。
もう扉の先に、彼女の笑顔は無い。
蓮斗
(.....涙脆くなったな、俺)
目尻に滲んだ涙を慌てて拭いながら、
1週間振りの病室を見渡す。
お母さん
.........まだ、あの子が居るみたいね
お父さん
.........そうだな
小さい頃、初めてプレゼントしたウサギのぬいぐるみも。
励ましに来てくれた日のカーディガンも。
蓮斗
(...全部.....)
ここだけ時間が止まったように、そのままだった。
お母さん
.....始めましょうか。
奏さんの呟くような声。
お父さん
ああ。...そうだ、蓮斗くん
それを合図に動き出す俺に、孝太さんから声が掛けられて。
蓮斗
.........あ、はい。
返事をすると、優しい笑顔で言われた。
欲しい物があったら、持って帰って良いよ、と。
蓮斗
.....え。良いんですか...?
お母さん
蓮斗くんの手元にあれば、結唯も喜ぶから
もちろん本心としては持って帰りたい。
蓮斗
嬉しい、ですけど.....
でも、2人に我慢させるのは違う気がして。
蓮斗
分かりました。ダメな物は言って下さい
遠慮しない事を約束して貰った。
窓際に沢山飾られた写真を、丁寧に箱に入れて行く。
蓮斗
(...あ、これ花見の時の...)
どの写真の結唯も、楽しそうに笑っていた。
蓮斗
(........全然カメラの方向いてないな)
俺はと言うと、彼女を見つめている物ばかりで。
蓮斗
(あいつ、最後まで気づかなかったんだなあ)
幼馴染の鈍さを、今更になって再確認されられる。
思い出を振り返りつつ、ベット横の引き出しを開けて行く。
そして。4段ある内の最後の1つに、"それ"は入っていた。
蓮斗
(これ.......手紙?)
探して欲しいと頼まれた俺宛の手紙。
淡い桃色の便箋の表面には、見慣れた結唯の字。
蓮斗
(...『蓮斗へ』.........)
見つけられたと言う嬉しさ。
蓮斗
(何が、書かれて.....)
中を見なければ行けない恐怖と、責任感。
ちゃんと見る義務があるのは、分かっているけれど。
.......これを見てしまったら。
蓮斗
.......怖い
彼女の死を、受け入れなくては行けない気がするから。

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