第24話

第23話
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2020/06/24 06:35
結唯
ーねぇ、お母さん
ふと。頼み事があるのを思い出し、母の方を向く。
お母さん
...どうしたの?
私の洋服を畳み直してくれていた母が顔を上げた。
結唯
蓮斗には、絶対に言わないで。
これは、ずっと考えていた事だ。
お母さん
.....!どうして...
結唯
悲しませたくないの。お願い。
本来は、病気の事だって話さないつもりだったのだから。
お母さん
でも...知らされない方が悲しむんじゃ...
まだ何か言いたげな母を遮って、頭を下げた。
結唯
じゃあ、私が死んでからにして。
最後のお願い。
そんな私の言葉に、母の声が少しだけ厳しくなる。
お母さん
死んでからとか、最後とか...
変な事言わないで。
皆、結唯が死んだら悲しむのよ
結唯
ーごめんなさい
確かにそうだな、と落ち込んで居ると。
母が優しく声をかけてくれた。
お母さん
...分かれば良いの。
さっきの話だけど...貴方の気持ちを尊重する
その言葉に、私は安堵の表情を浮かべて。
ありがとう、と微笑む。
結唯
(本当に、お母さんには頭が上がらない)
わがままを聞いてくれて、ありがとう。
ここまで見守ってくれて、ありがとう。
そんな気持ちを一緒に込めた。
時計が7時を指す頃。
母も私の新しい洗濯物を持って、立ち上がる。
お母さん
じゃあ。お母さんもお父さんのご飯
準備しなくちゃだから、そろそろ帰るわね。
体調とかおかしくなったら、
すぐに看護師さん呼ぶのよ?
結唯
はーい、分かってるよ笑
お父さんにも体調良くなった事、伝えておいて
いつも通り、心配性な母を安心させてから。
最近会えて居ない父への伝言を頼んだ。
お母さん
もちろん。きっと、喜ぶから笑
今度はお父さんも連れて来るね
結唯
楽しみにしてる笑
じゃあ。帰りの運転、気をつけてね
お母さん
結唯も身体、大事にね。またね
頷いてくれた母を、ベットの上から見送って。
今度こそ、誰も居なくなった部屋で。
自分の足で歩く事を試みたけれど。
ーグラッ。
地面に両足を付いて、壁から手を離した途端。
身体がよろめく。
結唯
ーっ、本当に.......足に力が入らなくなってる
立つ事もままならないようじゃ、
歩けない事など簡単に予想がついた。
結唯
(1か月も寝てれば、
誰でもこうなっちゃうのかな)
使われなかった足の急速な衰えに絶望して。
これ以上、悪くなる事を想像しただけで怖くなる。
結唯
(そんな事を言っても、
まだ歩けると思ってたのに)
先生は、良くも悪くも嘘を言っていなかった。
見た目的には、少し細くなっただけにも見える足を、
優しく撫でる。
結唯
(一緒に、頑張ろうね)
そして、看護師さんの見回りが来るのに備え。
ベットに入り直した。

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