第35話

第34話 蓮斗side②
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2021/07/03 07:48
先生
力及ばず、申し訳ありません.....
蓮斗
(謝罪じゃなくて、結唯を助けろよ...!)
誰にでも出来る謝罪をして、医者が去った後。
黙り込む結唯と、涙を見られないよう俯く俺を見て。
彼女の両親が気を遣ってくれたのか。
お母さん
結唯、蓮斗くんと2人で話しなさい。
お母さん達は外出てるから
お父さん
父さん達が付いてるからな
結唯
...うん、ありがとう。
結唯に声を掛けてから、病室を出て行った。
蓮斗
(.....情けないな、俺)
幼馴染の、ましてや好きな人でもある
結唯の両親にまで気遣わせた自己嫌悪で、
押し潰されそうになっていると。
結唯
.....何で、蓮斗が泣いてるの?笑
不意に掛けられた彼女の声は優しくて。
蓮斗
...........っ
思わず顔を上げて見つめた先の瞳は、
柔らかく細められて居た。
蓮斗
.....ごめん、いや。泣いて無い
正直に答えかけて...慌てて否定するも、逆効果。
結唯
誤魔化すの下手過ぎか笑笑
楽しそうに小さく肩を震わせながら笑う彼女が、
もうすぐ死んでしまうなんて。到底思えなくて。
蓮斗
(俺の事、置いて行くなよ)
しばらくの間、1人で笑っていた結唯は。
不意に真剣な顔をして、こう切り出した。
結唯
少しだけ。真面目な話、しても良い?
蓮斗
.........もちろん。聞くよ
普段あまりシリアスな雰囲気を好まない彼女が
こんな前置きをするのは珍しい。
一言も逃してしまわないよう、ジッと耳を傾ける。
結唯
まず、いつもありがとね
結唯
ずっと、ずーっと。側に居てくれて。
蓮斗は気づかなかったかも知れないけどさ。
私、感謝してるんだよ?笑
.......想定外だった。
あの結唯が、こんなに素直にお礼を言ってくれるとは。
蓮斗
(...でも、何で今?)
照れ臭くて嬉しい反面、僅かな不安も生まれる。
結唯
.....何その顔( •᷄ὤ•᷅)
嘘だと思ってるんでしょ?笑
どうして、声は明るいのに。
そんなに寂しそうに笑うのだろう。
蓮斗
いや、違う違うww
...俺こそ、いつもありがとなw
聞きたい事は山ほどあるのに。
結唯
何か蓮斗のせいで全然真面目にならなかった...
喉の奥につっかえて、出て来ない。
蓮斗
.....どさくさに紛れて俺のせいにするな?
だから、見たくない事の全てに蓋をして。
結唯
ちょ、真顔怖い真顔怖い真顔怖い笑笑
蓮斗
え、何の事かな?
結唯といつも通りの痴話喧嘩をする事で、かき消した。
結唯
頭グリグリしないでええぇぇえ!
.......だが、この翌日。
蓮斗
結唯ー、アイス買って来たけど食べ.....結唯?
蓮斗
え、この時間ってリハビリじゃない、よな?
彼女は居なくなる。

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