第39話

第38話
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2020/04/29 10:35
ニュースキャスターが、桜の開花予報を報じ始める時期。
アナウンサー
今年の東京の開花は______
とうとう歩く筋力も無くなり、
1日をベットで過ごすようになった私は。
ぼんやりとテレビを観ながら、ため息をついた。
結唯
.........暇、だなぁ
喋る事や食べる事は出来る。
ただ、どこにも行けないだけだ。
結唯
(リハビリも無くなったし
検査も時々しか無いし...何してれば良いの)
私にとっては、それがとても苦しいのだけど。
______ガラッ。
蓮斗
よ。...調子、どう?
結唯
んー...普通、かな
いつしか私の楽しみは。
家族や幼馴染が会いに来てくれる事だけになって居て。
蓮斗
...また痩せたな。食欲は?
結唯
動いてないからだと思うけど、あんまり無い
蓮斗は私の変化を更に鋭く見つけるようになった。
蓮斗
...アイスなら行ける?
欲しい物あったら言って、買って来るから
結唯
ありがと。...でも、今は要らないかな
多忙な両親に変わって。
部活の後でも、絶対に顔を出してくれる。
蓮斗
そか、分かった。
結唯
...........ごめんね
負担になっているのは、分かっているのに。
蓮斗
何で謝るんだよww
無理して食べさせる物じゃ無いから。
結唯
でも、せっかく気遣ってくれてるのに...
蓮斗
いーの、俺がお節介やいてると思えば。
大丈夫だから、気にすんなよ
嫌な顔ひとつせず優しく接してくれる事に、涙腺が緩んだ。
結唯
.....ありがとう
蓮斗
どういたしまして。薬、飲んだ?
結唯
あ、まだ飲んでない.....
蓮斗
ちょ、ちゃんと飲まないと...
でも、もう泣かない。
結唯
なんか蓮斗、保護者だね
蓮斗
.......否定はしない
結唯
しないんだ笑笑
蓮斗の中の記憶では、笑っていたいから。
蓮斗
あ。そろそろ部活行くわ。
今日の練習、4時からでさ
部活に向かうと言った蓮斗に向かって、微笑む。
結唯
ああ、そうなんだ。
行ってらっしゃい、頑張ってね
蓮斗
頑張る、また明日な
結唯
うん、また明日
扉が閉まったのを確認すると、私は枕に顔を埋めた。
結唯
.....何で、応援行けなくてごめんねって
言えないんだろ
どうして、この言葉を飲み込んだのか。
結唯
プライドでは、無いよね
病気に負けた事を認めたくないから。
...もしくは。
心の準備を始められていないから。
結唯
...前者かなぁ.....
しばらく考えていると、薬の副作用が出てきたらしい。
強い眠気に襲われる。
結唯
...少しだけ、寝よ、かな.....
心電図の規則正しい音をバックに、私は意識を手放した。
_____ピッ、ピッ、ピッ、ピピッ.....












『心電図の異常を確認、直ちに治療を開始して下さい』

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