第15話

第14話
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2021/07/03 07:22
父にも説明をして。今日は定期検診の日。
着いて行く、と言った母を何とか説得し。
1人で電車に乗り、病院の最寄り駅で降りた。
結唯
(...大丈夫。何とかなる)
1人で行った方が、気が楽と言うのは本音だ。
ーただ。
結唯
(少し、心細いなぁ...)
悪化していると突きつけられるかもしれない。
もう回復の余地は無いと言われるかもしれない。
結唯
(悪い事ばっか、考えちゃうよ)
そうなった時、横に誰かいて欲しいのも。
紛れも無い本音。
結唯
(でも、進まなきゃ)
ここで動かなければ。何も分からないままだから。
結唯
(よし。行こう)
これから何度歩くことになるか、
自力で歩いて行けるか分からない病院への道を歩いて行く。
中に入れば、いつも通り沢山の患者さんが居た。
結唯
(私もいつかは、入るんだよね)
可哀想、とは言いたくない。
だって私も、ここの一員になるんだから。
結唯
(誰かに可哀想、と思われたくない)
これまでの人生に誇りを持って生きている。
きっとそれは。皆、同じ。
看護師
三笠結唯さん、第2診察室へどうぞ
結唯
はい
聞き慣れた看護師さんの、私を呼ぶ声に。
返事をして、扉を開く。
結唯
こんにちは、先生。
よろしくお願いします
小さく会釈をしながら椅子に腰かけて。
先生
こんにちは。じゃあ、検査の結果を
お知らせしますね
相変わらず何を考えているか分からない、先生の顔を見る。
先生
...まず、進行の程度についてですが。
やはり、少し進んでいます
容赦なく、進行を続けている事実が言い渡されて。
結唯
ーそう、ですか...
何となくは分かっていた。
私の病気が、進行を止めてくれることは無いと。
先生
薬の効果で、ある程度は
進行を遅らせられているようですが...
これも、時間の問題だと思います
先生はその後で。
余命が伸びる見込みは今の所は無い、
薬を増やす必要があるかもしれない、と語った。
先生
他に質問等は、ありますか?
予想していたより、遥かに早い。
結唯
.....いいえ。今回は大丈夫です。
ありがとうございました。
刻々と近づいてくる死。
先生
分かりました、お大事に。
また、1週間後にいらして下さい。
徐々に短くなる、自分の足で歩ける時間。
結唯
はい。失礼します。
病院を出て駅まで引き返していると、 
不思議とため息が出た。
この目に景色が映る事も、誰かの目に私が映る事も。
いずれは無くなってしまう。
結唯
(そうなるまでの時間が、
私は、ほんの少し皆より少ないだけだ)
皆より、短いだけ。結局は同じなんだから。
残りの全てをかけて、大切な家族や、幼馴染を守る。
結唯
(この命に代えてでも、
大好きな人達が幸せであるように)
見上げた空は、何も知らない顔をして。
青く、輝いて居た。

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