第11話

第10話
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2021/07/02 22:10
楽しかったデートも、もうすぐおしまい。
結唯
ねぇねぇ、最後に観覧車乗らない?
空が茜色に変わっている事に気づいた私は、
最後くらい、デートっぽい物に乗りたいと考えた。
蓮斗
(絶叫系、完全にトラウマだな)
いいよ。乗ろうか
ジェットコースターやその他諸々の乗り過ぎで
疲れが抜けていないはずの蓮斗。
それなのに、快く頷いてくれた。
結唯
やった!そうと決まれば行こう!
それが嬉しくて、また走り出そうとした私。
今度はさすがに止められた。
蓮斗
何で全然疲れてないんだよw
ゆっくり行って...w
私が子供っぽいせいで恥ずかしい思いをさせたかもと
夕方になって気づく。
結唯
あ、ごめん...もう急ぐ理由も無いもんね
やってしまった...なんて、落ち込んでいると。
蓮斗
そーいう事。観覧車逃げないからww
あと、そろそろ転ぶぞ?
優しい声と共に、差し出された蓮斗の手の平。
恐る恐る、自分の手を重ねて。
結唯
...蓮斗の手、暖かい...
繋いだ手から伝わる彼の温もりに、思わず顔が緩む。
蓮斗
どういう褒め方だよww
そもそも褒めてんの?w
精一杯の褒め言葉は、蓮斗に伝わらなかったようで。
結唯
褒めてる、めちゃくちゃ
真顔で彼を見つめると、観念したように吹き出した。
蓮斗
(なんか嬉しくない...w)
...ありがとw
元気に外を歩ける内に、喋れる内に。
いい所を沢山見つけて、褒めておきたいのに。
結唯
...笑っちゃってるじゃん
その声は、まるで全く理解していないように感じた。
蓮斗
えぇー...気のせいじゃね?...って
蓮斗
何だよ、そんな真面目な顔してw
結唯
茶化さないで
後になって、何と言われてもいい。
結唯
私は、本気で褒めてるの
嘘だろ、って笑われてもいい。
ーただ。
結唯
あと何回、こうして蓮斗と
出かけられるか分からない
彼に知っていて欲しい。
結唯
あと何個、蓮斗のいい所を
見つけられるかも分からない
私がどれだけ、幼馴染として大切に思っているか。
結唯
...だから...っ、ちゃんと聞いて欲しい
少しだけ、声が震える。
蓮斗
_ごめん。これからは気をつける
困らせたのは、表情を見れば分かった。
結唯
...うん。強く言ってごめん。
分かってくれて、ありがとう
それでもしっかり私の思いを汲み取ってくれて。
蓮斗
いや。俺こそ配慮が足りなかったしw
じゃあ、観覧車。乗って帰るか
結唯
...うん!暗くなってから乗っても
ほぼ意味無くなる笑
どんな状況の後でも、
私の気持ちを楽しいものへと変えてくれる。
繋いだ手の熱を噛み締めるように
目を伏せながら。1人、微笑む。
結唯
(大好きだよ。幼馴染として)
_いつか来る終わりの日まで。
結唯
(だから、大好きだから)
お互いの為に、彼の未来の為に。
結唯
(ー"本物の恋"は、しない)

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