第9話

優しさ
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2020/04/05 04:52
華恋
華恋
あーー、もう!バカァあああ!!
渉
っるせぇよ
華恋
華恋
はっ!?え、ちょっ、なんであんたが!?
渉
んなこと、どうでもいいだろ…
華恋
華恋
よっ、よくないよ!学校遅れるじゃん!
渉
いいんだよ、別に
華恋
華恋
っ、ちょっと…
渉
は?お前が勝手に出てったんだろ。ほっとけるわけねぇだろ
華恋
華恋
っ、だからってっ
渉
オレのせいなんだろ…
華恋
華恋
そんな直球に言われたら、言い返せない。
華恋
華恋
でもっ、あんたまで遅れちゃうじゃん
渉
え、オレの事心配してくれてんの?
華恋
華恋
っ、ち、ちがっ!
必死で言うけど、全然聞いてない。
渉
来い
そう言って、また強引に手を引っ張る。
華恋
華恋
待ってよっ
渉
…、お詫びするから
華恋
華恋
えっ
そうして着いたのは、自転車のレンタル場だっ


た。
渉
これ乗っていけ
華恋
華恋
え?
渉
急いだら間に合うから
華恋
華恋
え、いや、流石に無理だよ
ここがどこかも分からないのに、間に合うわけ


がない。
渉
はぁ、めんどくせぇやつ
華恋
華恋
え、ちょっ
そしてこいつは2人乗りの自転車を借りる。
華恋
華恋
え、なんで
渉
オレここから何回も行ったことあるから大丈夫、乗れ
華恋
華恋
いや、いいよ
渉
うるせぇ、早くしねぇと間に合わねぇぞ
華恋
華恋
うぅ、もうっ
渉
ふっ
そう言って笑うこいつには、優しさが見えた。

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