第25話

22話
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2022/12/09 10:31

弦月「……、宵崎さん、ボーッとしてるけど大丈夫?」
『…はい大丈夫です』
あれから日はたって、今はもう弦月さんのお母様に会いにいく日。ちなみに車で病院向かってます。
弦月「……、最近、なんかボーッとすること増えたね。ほんとに体調大丈夫?」
『大丈夫ですよ』
弦月「そっか。ならよかった。」
あれから長尾さんのことも弦月さんのお母様のことも考えてて正直本気で集中して魔法の練習が出来てません。
『ここが弦月さんの地元…』
弦月「だいぶ田舎だけどね笑 いい所だよ。自然豊かだし、知り合いもたくさんいるし。」
窓の外を眺めながら弦月さんと話をしてれば病院にはすぐに着きました。とても大きな病院でたくさんの人が居ました。
弦月「それじゃあ少しだけ手続きをしてくるから待っててくれる?」
『はい』
窓口の方へ行く弦月さんを見届けて柱によりかかりました。
この一週間、色んなこと考えてたけど今だけはひとつのことだけに集中しましょう。そうじゃなきゃきっと弦月さんのお母様を助けられません。
『…ふぅ』
?「あの、」
『?』
伏せていた顔をパッとあげて声のした方に顔を向けました。目の前にたっていた黒髪短髪の男の子と茶髪のショートの女の子。女の子には右の額に、男の子には頬に傷跡がありました。
男の子「……、!さっき一緒にいたのって弦月ですよね?!」
意を決して話したのか肩をガシッと掴まれて必死な表情で聞かれました。すごい勢いで揺らされました。
女の子「ちょっと!困ってるって!」
男の子「……あ、……すみません……。」
パッと手を離してくれました。
『一緒にいたのは弦月さんですけど、貴方たちはお知り合いで?』
知り合いもたくさんいるって言ってましたしね
女の子「知り合い、って言う……んですかね。弦月くんとは直接知り合ってた訳じゃないんですけど……」
…2人の傷跡と弦月さんの友達と知人……?
『……もしかしてですけど、長尾さんの…』
そう言うと目を大きく開いて2人とも黙り込んでしまいました。長尾さんの、同級生きっと。あの時の怪我した傷痕……
『私、文句なら受け付けませんよ。』
男の子「……!!、ちが、!」
女の子「私たちは長尾君に謝りたくて、!」
…なるほど
女の子「……こんなの嘘、に聞こえるかもしれないんですけど、……私たち、ずっと後悔してたんです……っ!!」
男の子「…………俺は助けられた人のひとりに入るん、ですけど……正直魔法を見たのが初めてで、…俺テンパって景くんに殺されるって、言っちゃって……その日家に帰った時しっかり頭の整理がついた時、
"あ、俺は景くんに助けられた"んだって気づいて、」
女の子「私も同じ気持ちでした、。……だからその日クラスの一人一人に電話で気持ちをしっかり聞いたんです。みんな、あの時は自分のことで手一杯で、誰も景くんにありがとうって言えてなくて。
だからみんなで次の日謝ろうって!それでありがとうって伝えようって!!」
男の子「次の日の朝、みんなで学校で景くんを待ってたんですけど、その日から景くんは学校に来なくなって、……何度も家に行ったりしたんだけど景くんとは会えないまま卒業をして、……今でもずっと後悔してるんです……っ、だから、!」
2人とも必死で私に言ってくる姿が嘘には見えません
『…クラスの人達は長尾さんを…』
弦月「……あれ、宵崎さん?その人達は…………、」
弦月さんが帰ってきて2人の顔を見た瞬間私の手を掴んで彼らと引き離しました。
『…弦月さんこの子達は…』
弦月「昔の景くんのクラスメイトさんたちがなんの用?」
男の子「っ、」
…弦月さん…警戒度MAXですね…長尾さんのことがありますからね…
『弦月さ…』
話をしようとした瞬間男の子は頭を深く下げました
男の子「……お願いです、景くんに、会わせて下さい。」
弦月「……。」
私に回した弦月さんの腕が緩みました。
『弦月さん…』
私は先程の事を話しました

弦月「……そう、だったんだ。」
男の子「……謝っても許されないことをした自覚はある、だけど、1度だけでも景くんに謝らなきゃって、」
女の子「……私からもお願い、します……。」
女の子も頭を下げた。肩は震えていたし、言葉も少しつっかえていました。
『…弦月さん会わせよう。弦月さんの疑う気持ちもよく分ります。だけど、人を信じてみることも大事だと思います』

弦月「……明日の夜、ここに来て。」
そう言うと手帳のメモをやぶってそこに学園の住所を書いて2人に渡しました
弦月「……君らのしたことを僕は許すわけじゃないけど、きっと景くんの為になると、思うから。」
男の子「あ、ありがとうっ!!」
女の子「わ、私、みんなに連絡する!」
2人は少し涙目になりながら笑顔になっていました
弦月「それじゃあ僕らはもう行くから。」
肩に手を回されて2人に背を向けて歩いていきました。少し歩いてきた所で弦月さんに話しかけました。
『弦月さん少し嬉しそうですね』
弦月「…別に」
『ふふっ』
これできっと、長尾さんは過去から振り切れられます。この学園にもきっと残ることが出来ます。そう思うと自然と不安だった気持ちが落ち着いてきてモヤモヤが晴れた気がしました。
弦月「ついたよ。」
エレベーターに乗って着いたのは一部屋しかない階です。部屋のプレートには弦月とかかれています。
『…』
弦月さんが病室のドアを開けました。
弦月「久しぶり。母さん。」
病室のベットで寝ているすごく、綺麗な人でした。綺麗な長い金髪に白い手足、頬は少し痩けてしまっているけど綺麗な輪郭で…。
弦月さんは棚にあった花瓶をとって手に持っていた花に入れ替えました。
弦月「…」
『…』
細い二の腕に見えたのは黒いクローバーのマーク…。この呪いが弦月さんのお母様を眠らせたのですね
『…少し弦月さんのお母様とお話をしてもいいでしょうか』
弦月「……母さんの意思には届かな、」
『いいんです私がしたいだけなので』
弦月「そう、。じゃあ僕は花瓶の水を変えてくるから、魔法を始めるときに声、かけて欲しい。」
コクッと頷くと弦月さんは部屋を出ました
弦月さんのお母様の手を握る。
『…私が絶対にその暗闇から目覚めさせます。たくさん生きてください、…弦月さんのお母様は、いなくちゃならない人なので…
目覚めたら弦月さんとたくさんお話してあげてください。きっと話したいことが沢山あるでしょうから』

手を離して窓辺に移動して窓を開けます。快晴の空に夏を迎えようとしてる新緑の木達、そして心地よい風。
『…きっと…大丈夫…』

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