第47話

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2019/06/03 10:35
高校生になってから、私とハナは変わった。




真っ黒なミディアムヘアからちらりとのぞく、銀色のピアス。

血のように鮮やかで真っ赤なリップ。

鋭い眼光をさらに鋭くする灰色のカラコン。

シャツは下着が見えるか見えないか、ギリギリ。

緩く結んだ赤いネクタイ。

その上から羽織ったダボダボの黒いパーカー。

黒いスカートは校則破りでミニにした。

ほぼ全身真っ黒の私。


一部を青に染めた茶色のロングヘアをグリングリンに巻いた髪。

髪と同じ青いカラコンと真っ赤なリップ。

いつもかけている黒いヘッドフォン。

ボタンの取れたピンクのカーディガン。

中のシャツとネクタイは私と一緒。

灰色のミニスカート。

いかにもギャルとゆう格好のハナ。




受験に失敗して、スレスレで入った女子校は、ヤンキーとギャルしかいなかった。

すぐにその環境に慣れ、ハナと二人で過ごしていた。

そのころは家庭環境も荒れていた。

受験に落ちた私をなだめるオンマと、私の格好に文句をゆうアッパ。

絶賛反抗期中の私は、ほとんど家に帰らず、一人暮らしのハナの家へ泊まっていた。

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あなた

おっは。

女子
女子
おはよぉ。
ハナ
ハナ
おはよよ。
あなた

授業だる。

ハナ
ハナ
さぼる?
あなた

フッ……あたまえ。

ハナ
ハナ
さっすが。
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いつもどおりヘッドフォンをかけるハナ。

いつもどおり漏れてくる音。

いつもどおりスルーしようとしたけど、

その日は気になってしまった。

その曲何?ってゆったら、ハナはニコニコしながらゆった。

『バンタン。』

漏れてくる音から、ハナが教えてくれたDOPEが聞こえる。

【嫌なのはNO  そんなん元々】

ふと聞こえたサビと思われる歌詞は、私の心を歌った。

親に文句を言った今までの生活。

どこか罪悪感と戦いながら生きていた。

そんな私に、「そのままでいい」と訴えかけるような歌詞だった。

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あのね、あなた。
あなた

なに。

隣町へ引っ越すのよ。
あなた

は?

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高校1年生が終わりに近づいた冬、オンマが突然言い出した。

アッパの仕事のためだそうだ。

聞くと、学校も転校するらしい。

「あっそ。勝手にすれば。」

冷たい返事を残し、私はハナの家へ向かった。

戸惑うこともなく、私はハナにそのことを話した。

そしたらハナは言った。

「私も行く。」

ちょうど、住んでいたアパートが取り壊しになるらしい。

アパートを探していたハナには好都合だった。

そして、それを期に、ギャル(ヤンキー)を辞めることを決めた。




やり残したことがないように。

そう思った私とハナは、いつも以上に学校を楽しんだ。

たくさん喧嘩をして、傷を作った。

そんなとき、私が熱を出した。

ハナは私を残して、学校へ行った。

夜になっても帰ってこない。

ハナの家にいた私は心配した。

なんかの事件に巻き込まれたのではないか。

なんとなく嫌な予感がして、私は外に出た。

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あなた

………………ハナ?

ハナ
ハナ
ゲホッ、ウッ………。
あなた

ハナ!

Doctor.quarrel
Doctor.quarrel
おやおや。
あなた

あ"?

ハナ
ハナ
逃げろ。
Doctor.quarrel
Doctor.quarrel
どーも、わたくしDoctor.quarrelと申します。
お宅のお嬢さん、ちょっと遊ばせていただきましたよ。
あなた

ふざけんな。

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血まみれで引きずられているハナ。

その首元を掴んでいたのは、黒いニット帽を被った男だった。

ハナはしきりに「逃げろ」とゆう。

ただ、私には逃げる気なんて無かった。

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あなた

ハナを返せ。
なんなら、私が相手だ。

Doctor.quarrel
Doctor.quarrel
ん〜、綺麗な友情には興味ないんだけどな。
あなた

はやくしろ。

Doctor.quarrel
Doctor.quarrel
はいはい。
Doctor.quarrel
Doctor.quarrel
そのかわり、お前が遊び相手だ。
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ハナを私に向かって放り投げる。

意識の薄れたハナを家の中に入れ、私はDoctor.quarrelについていった。



来たのは暗い倉庫。

そこで私は、手下やクァーレにたくさん遊ばれた。

殴られ蹴られ、しまいには…………………。









なんとか自力でハナの家に帰ると、ハナは私を見て一言言った。

























『早く死のう。』

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