中学生になってから、私は普通に生活していた。
中学2年生のとき、私のクラスに転校生が来るらしいと言う噂が広がった。
そのうわさ話通り、転校生は来た。
めっちゃ可愛い女の子。
それがハナの第一印象。
でも、どことなく闇を抱えている雰囲気。
表ではたくさん笑ってるけど、ぼーっとしてるときだけは暗い。
だから私は話しかけた。
自分からはいかない私が、何かを感じて話しかけた。
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そのときは悩みを話してくれなかった。
けど、ハナとたくさん関わっていくうちに知った。
ハナには親がいないって。
本人からも話してくれた。
3年前に、事故で親を無くしたって。
本人は嬉しかったんだって。
虐待されてたから。
けど、世間とか親族とかに「かわいそう」「小さいのに」って言われるうちに
自分は寂しい人間なのかもって思うようになった。
親族に引き取ってもらって、3年間はそこで暮らした。
けど、両親が残していた財産で、中学2年生から一人で生活するようになった。
それを期に、転校してきたんだって。
今は一人で暮らしてる。
べつに寂しくないし同情もいらないよ。
ハナはそう言った。
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私は自分の過去を話した。
ハナは頷きながら聞いてくれた。
そして二人で誓った。
大事な人を無くした少女の、大事な誓い。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。