あだ名を決めて、配信の事を話して。
楽しすぎた時間も私の家の前に着くことで
終わりを告げる。
繋いでいた手を離してお礼を言うと、
彼は笑ってそう言った。
優しすぎて、格好良くて。
自分にはもったいなさすぎる人だと
改めて思う。
目線を合わせて頭を撫でてくれた手が
離れていく。
もう既に寂しいと思っている自分は、
きっと相当彼が好きだ。
ー.................
赤峰くん...ではなく、りっくんを見送った私は
帰宅してすぐLINEで藍花にあだ名の事を報告する。
若干胸を抉られる一言。
それでもやっぱり気になるものは気になるらしい。
すぐにどういうあだ名にしたのかと聞かれる。
何故か緊張しながら伝え、
いいよね!と言う目で見つめたが、
答えはクールなものだった。
ありがちだと言われればもう何も言えまい。
小さく笑った藍花が見えそうなほど、
その一言はリアルで。
やけに鮮明に私の胸へと届く。
素直じゃ無いなあ、なんて思いながら笑っていると。
大好きな親友からの、きっと1番欲しかった言葉。
きっと、気持ちが全部こもっていて。
誰よりも正義感が強くて優しいのに、
素直になれない彼女にぴったりだと思った。
誓いを込めて、打ち込む。
画面越しに話しているのに、
拳を突き合わせたかのような感覚。
私達はその時、きっと微笑んでいたと思う。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。