優しい人達なのは分かっているのに、
嫌な想像ばかり浮かんで来て。
頭を下げたまま、動けない。
戸惑いながら促してくれる声にも、身体が震えてしまう。
自分への苛立ち、情けなさから床を睨み付ける
私の背中に暖かい手が触れた。
掛けられた言葉と優しい手つきに、涙が零れそうになる。
支えて貰いつつ、ようやく顔を上げれば。
笑顔でこちらを見つめる皆さんが居て。
迷惑を沢山かけた私の事を、1度も責める事なく。
お疲れ様と、労ってくれて。
彼らが皆に好かれる理由が、分かったような気がした。
優しくて、ユーモアがあって。
一人一人の個性が輝いて居て、格好良い。
お礼をすると譲らない私を見て、ななもりさんが考え込み。
ワクワクとした目でジェルさんが見ている中。
何故か私を見て、りっくんが倒れた。
焦りまくる私とは正反対に至って冷静な3人。
いつもこんな事起こってる訳では無いよね?と
不安になった事は内緒だ。
好き勝手言われた張本人が復活すると同時に。
ななもりさんが、また突拍子も無い事を言い出して。
嵐のように去って行った。
それに続くように、部屋を出て行く皆さん。
後には、テンションに付いて行けず困惑する私と。
メンバーをフォローしつつ、私の不安も消そうと奮闘する
りっくんが残された。
__『トラブル、再び。』完
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。