.....可笑しい。
さっきまで、東京に居たはずなのに。
どうして私は今、北海道の空港に降り立って。
3人と一緒に到着宣言をして居るのだろう。
かなり長く飛行機に乗って。電車移動もしたはずなのに。
誰も同じ戸惑いを持って居ないらしい。
ゾロゾロと並んで歩き始める皆さんの後ろを歩く。
そして、見つけてしまった。
ポスターに大きく載せられた、
北海道生クリームたっぷりのパフェ。
ツヤツヤしたフルーツが、更に食べたいを加速させるけど。
りっくん以外の食好みを知らない私は、我慢する事にした。
.......................。
最初に向かった先は、お寿司屋さん。
キラキラと目を輝かせている彼を、微笑ましく眺めながら。
ひたすら、マグロを食べて居た。
るぅとさんと話すのは、嫌いじゃない。
むしろ、和めるから大歓迎だ。
ふと、気付いた。
ななもりさんが全然、食べれて居ないのだ。
面倒見が良いのは良い事だけど、流石に申し訳なくて。
注文する係を引き受けた。
全員の声を聞き逃さないように、仕事をこなす。
やがて、無事お腹いっぱいになった様子の彼ら。
お寿司屋さんを出て、ホテルに向かう。
そんな中、私にはある疑問が浮かび始めた。
北海道に来た本来の目的は、『合宿』。
なのに、北海道に着いてからココまで。
一度も合宿っぽい事をして居ない。
必要最低限の機材が入ったカバンを背負い直しながら。
そんな事を思っていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!