何とか挨拶を済ませたものの。
まともに会話すら出来ない私。
この状態を打破出来る、名案を思いつき。
りっくんの後ろから飛び出して。
自室へ滑り込むと、パーカーを羽織って。
目深にフードを被り、皆の元へ戻る。
これなら、少しはマシになったと思う。
彼の後ろに隠れず会話を出来るだけ、だが。
何を思ったか、いきなりフードを取られて。
視界が明るくなり、恐怖も戻って来る。
反射的に隠れてしまいながら、抗議の目を向けると。
申し訳なさそうにしていたので、今回は見逃してあげた。
気を取り直して、今度はもっとしっかりフードを被って。
前に進み出て、入ってくれるよう促した。
良い返事が飛んでくる中、何となく。
あるお二人の関係が垣間見えるような会話が聞こえたが。
今はスルーする事にする。
廊下を進む私の後ろで、楽しそうな会話が続いて居て。
少しだけ、羨ましく思った。
今回のように、トラブル起きた時。
グループで活動して居れば。
メンバーの人を、真っ先に頼れると思うから。
視野に入れた方が良いのかなと考えた所で。
リビングに着いて居る事に気づき、椅子に座って貰って。
目的を再確認してから。
何から話そう...と考えを巡らせた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。