結婚式から1か月。
都内のマンションには。
愛猫のミミと一緒に彼の帰りを待つ、私の姿があった。
今日、りっくんはすとぷり全員での生放送の為、不在だ。
自分の枠と打ち合わせがあるからとの置き手紙を残し、
私の起きる前に出かけてしまった彼。
まだ1度も会えていない。
わがままだって、分かっている。
活動自体を反対したい訳じゃない。無い...けど。
昔、これで満足していた自分は、もうすっかり遠い。
側に居てくれないと物足りなくて。
大好きが募って。
本当に帰りが、待ち遠しい。
気持ちを抑えるように、ミミを抱き締めて。
ひたすら待っていると。
ーガチャ。
時間が0時を過ぎた頃、ようやく玄関から元気な声がする。
大急ぎで向かうと。
靴を脱いでいた彼と目が合い、
優しく笑いかけられる。
ミミを一旦下ろして、りっくんに抱きついた。
驚きながらも、ちゃんと受け止めてくれて。
寂しかった、と言わない代わりに。
抱き締める力を、ほんの少しだけ強くすると。
あやすように私の頭を撫でている彼に、見抜かれる。
からかうような、少し嬉しそうな。そんな表情。
もうヤケになって、言ってみた。
いつもなら絶対に隠し通す、本心。
グリグリと、りっくんの胸に額を押し付ける。
ちゃんと帰って来たと実感できるように。
この状態でいると、小さい声でも良く聞こえる。
りっくんが呟いた声に、私の頬は熱くなって。
見られないように、名残惜しいけど離れて。
準備に行こうとした。
すぐに手首を掴まれて、引き止められる。
そして、あざと可愛い反則行為。
今の私の顔は、蕩けまくっていると思う。
自分が照れるとか以前に、りっくんが可愛すぎるから。
ーそして、約1時間後。
髪も乾かして来た彼と一緒にベットに入る。
繋いだ手や、抱き締められる温もりに安心して。
眠りの世界に、落ちて行った。
_『本心を打ち明けて』完
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。