第11話

第10話
4,509
2020/01/01 13:29
璃夢
璃夢
つまり...全部口に出てたってこと?
あの後。
ようやく落ち着いて椅子に座った私は、
信じたくない話を聞かされていた。
莉玖
莉玖
そういう事。やっと分かった?
璃夢
璃夢
分かったけど、理解したくない...
莉玖
莉玖
ええ...w
ざっくり説明すると。
璃夢
璃夢
(まさかパニックになり過ぎて
ほとんど最初から、なんて...)

私としては頭の中で話しているつもりだった内容が、赤峰くんに聞かれていた、と言う事になる。
璃夢
璃夢
最悪...
分かりやすく落ち込んでしまった私。
すかさず彼がフォローしてくれた。
莉玖
莉玖
まぁまぁ。俺は嬉しかったからさ
璃夢
璃夢
嬉、しい?
その言葉に、思わず顔を上げて赤峰くんを見つめる。
莉玖
莉玖
俺さ、ずっと『むぅ』のファン
なんだよね
璃夢
璃夢
え!?
赤峰くんが私を見てくれていた?
ほんの少しの好奇心から始めた歌い手としての活動。
璃夢
璃夢
(身近にいる人に届くって、
こんなに嬉しいんだ)
こっそり嬉しさを噛み締める。
莉玖
莉玖
それで。本題に戻りたいんだけど
心の中でガッツポーズを続けていると
真剣そのものな声に、現実に引き戻されて。
璃夢
璃夢
(あ...そうだった)
莉玖
莉玖
...どう...かな?
璃夢
璃夢
えっと、私...
緊張気味に固まって行く表情を見ていると、
自然と返事が出来なくなってしまって。
璃夢
璃夢
(答えなんて、決まってるのに)
好きなのに、大好きなのに。
璃夢
璃夢
(何で、言えないのかな)
莉玖
莉玖
もしかして...困ってる?
焦りばかりが募る中、少しだけ悲しげな声がして。
璃夢
璃夢
え...っ、ちが...違くて...
莉玖
莉玖
無理しないで。焦らなくて大丈夫だから
一生懸命作られた明るさに、
胸が押し潰されそうになる。
璃夢
璃夢
(無理してるのは、私じゃない)
これ以上勘違いされたくも無かった。
璃夢
璃夢
ー好き
莉玖
莉玖
へ...?
璃夢
璃夢
赤峰くんの事、好きだよ。
だからー...っ
そんな顔しないで。そう伝えようとした声は
彼によって掻き消される。
莉玖
莉玖
ごめん。今だけ...
次の瞬間、抱き締められていたから。
璃夢
璃夢
(恥ずかしい...っ!!)
頬の熱がどんどん上がって行くのを感じながら
必死に耐えていると、ようやく解放されて。
莉玖
莉玖
うん、これで良し。ありがとう
璃夢
璃夢
ど、どういたしまして...
いまいち力の入らない笑顔を浮かべ、
視線を逸らす。
璃夢
璃夢
(破壊力!破壊力が!)
莉玖
莉玖
何で俺の方見てくれないの?w
笑みを含んだ声を聞いて、思う。
璃夢
璃夢
(こんなに意気地無しなのに...
幸せになっても、良いのかな)
いつだって前に進む時は自分の力だけじゃ無理で。
不安にならないかと言ったら嘘になる。
莉玖
莉玖
これから、よろしくね
それでも、幸せそうに笑ってくれる彼を見ていたら。
何だって出来てしまうような気がした。
璃夢
璃夢
...うんっ、よろしくお願い、します...
ーやっぱり少し照れたけど。

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