第45話

第44話 莉犬side
2,226
2020/02/17 08:12
むぅ
むぅ
ーこれからも、ついてきてくれますか?
生放送を見ている全ての人に問いかけてから。
彼女は、全てを伝えきったように。天井を仰ぐ。
むぅ
むぅ
...ボソ))緊張した...
その姿にすら、愛おしい気持ちが込み上げて。
莉玖
莉玖
(...やばい、抱き締めたい)
藍花
藍花
うわぁ。赤峰くん、重症...
椎名さんに、少し引かれた。
莉玖
莉玖
ん?( *´꒳`* )
藍花
藍花
...何でもないでーす
それから少しして。
コメント欄にリスナーの気持ちが綴られ始める。
むぅ
むぅ
わあ...こんなに沢山...
『誤解してました』
『信じてあげられなくてごめんね。
もちろん、これからも一緒です!』
『むぅさん大好きだよー!』
そんな暖かなコメントに、彼女は目を輝かせ、
俺を振り返った。
むぅ
むぅ
りっくん、見て見て!皆に伝わったよ!
莉玖
莉玖
.......うん。分かってたww
むぅ
むぅ
えぇっ!?
バッ、とお面を取り外した彼女。
知ってたの...と呟く、その恨みがましい声に、
小さく笑う。
莉玖
莉玖
俺は、最初から信じてたしw
むぅ
むぅ
ー!
そう。最初から分かっていた。
彼女が何を言われようとリスナーを信じ、
自分の全てをさらけ出して想いを伝えようとする事。
莉玖
莉玖
俺の知ってる『むぅ』は...
絶対にリスナーを完全には疑えない
そして、誰からも愛される歌い手になる事も。
むぅ
むぅ
.........ありがとう
今までで1番綺麗な笑顔を見せた彼女は。
1人の可憐な女子高生に戻る。
璃夢
璃夢
私も、りっくんを...ううん。2人を
璃夢
璃夢
信じてる。今までも、これからも。
藍花
藍花
璃夢...よく、頑張ったね
そんな璃夢に椎名さんが歩み寄り。
優しく抱き締め、頭を撫でた。
璃夢
璃夢
..........藍花。ありがとう、ありがとう...
その温もりに張り詰めていた緊張が途切れたのか。
璃夢
璃夢
.......っ、う...ごめ.....っ
璃夢の頬を、涙が滑り落ちて行く。
そんな光景を見て。全てが終わったんだ、と
安心してしまいそうになったけど。
莉玖
莉玖
(でも、終わってない)
まだこの事件の渦中の人物が、
璃夢に謝罪して居ないのだから。
莉玖
莉玖
(璃夢の人生をめちゃくちゃに
しかけたあの子を、俺は許せない)
彼女の大切な人ものを奪おうとした犯人が、
自分のリスナーだとしたら、尚更。
莉玖
莉玖
(...今度は、俺が頑張らきゃ)
静まってくれない怒りを何とか抑え、
少し先の未来を想像した。
莉玖
莉玖
(あと少し。あと少しで全てが
終わるから。そしたらー...)
俺は。彼女に伝えなければならない事が、ある。
莉玖
莉玖
.........................
スマホを操作し始めた俺の前では。
璃夢も、椎名さんも笑っていて。
莉玖
莉玖
とりあえず、本人と話す所からだな...
明るい未来を予知するかのような月光が。
莉玖
莉玖
(大丈夫。上手くいく)
俺たちを、見守り。輝いていた。

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