【璃夢side・藍花side】
話し込んで居ると、時間はあっという間だ。
なかなか寝ようとしない私を心配した藍花が。
やんわりと睡眠を取るように促してくれるが。
目を閉じるのが怖くて、眠れない。
幸せだった日々も、忘れてしまいそうで。
親友の瞳に映る自分は、泣きそうな顔をして居る。
ボロボロな状態の私を数秒見つめた藍花は。
よいしょ、と小さく声を出しながら立ち上がった。
その動作に合わせて、私も視線を上に向ける。
正直、1人になりたくないと言う気持ちもあり、止めると。
迎え入れてくれた時と同じ笑顔で頭を撫でられる。
更に言葉を続けようとした私を止めるのも上手い。
相変わらずお母さんみたいだな、と思ってしまい。
それ以上しつこく出来ないまま、彼女の背中を見送った。
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璃夢に......大好きな親友に背中を向けたと同時に。
私の笑顔は嘘のように消える。
それ位、璃夢が初めて好きになった人に怒って居た。
彼なら頼めると思ったから、密かに応援したのに。
もし、このまま...何て事になったら。
1発と言わずに、頬を叩いてしまうかも知れない。
手早く某メッセージアプリの中から彼の連絡先を見つけ。
通話ボタンをタップし、コール音が途切れるのを待つ。
そんなに待たずして聞こえた声の低さに。
話の内容に察しが付いて居るんだなと気付いた。
それでも、一応。
.......と聞くと。
少し苛立った返事が帰って来た。
苛立ちたいのは、怒りをぶつけたいのは。私の方だ。
それでも、"まだ"必死に抑えて。
冷静に話を続けると。
璃夢も知らない、彼が追い出した後の裏側が。
______見えて来た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。