ーそのあと。
私達は完全に納得は出来なかった様子の女の子と別れ
2人で並んで帰路に着く。
自分が思うより遥かに彼女を傷つけてしまって
いたら、と思うと不安が募る。
別れ際のあの子の表情はやっぱり少し悲しげで。
家の前に着き、繋いでいた手を離す直前、
彼がそう言って笑って。
そっと、励ましてくれる。
本当はまだ不安があったけど。りっくんもリスナーの
皆も、こんな私は望まないだろうから。
少しでも早く、皆にいつもの私を見て欲しい。
心配そうな顔で言う彼に、大丈夫だと微笑んで。
ピースサインをして見せた。
ー...........................
りっくんとそんな会話を交わした日の夜、
ネットの片隅には。
生放送を開始した、私の姿があった。
いつも通りに進める前に、まずは改めて。
再スタートを、発表しておこうと思った。
この先も、きっと沢山の事が起きるだろう。
道は、楽しいばかりじゃない。
けれど。私が『君』を連れていく。
軽快なBGMが流れ出す。
トークで盛り上げて、リクエストの曲で盛り上げて。
気がつけば、2時間が経っていた。
例え顔が見えなくても分かる。
皆が楽しんでくれているのが。
名残惜しく思いながらも、締めの挨拶に入る。
流れていく沢山のコメントを見て、
幸せな気分になりながら。
配信を、終えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。