璃夢のTwitterが炎上して1週間が経過した、今日。
この1週間、1日の半分以上パソコンの前で犯人の
アカウントを探し続けた私は、ようやく辿り着いた。
好き勝手に色々言った報いを、必ず受けて貰う為。
とりあえず赤峰くんに連絡をする。
何をしているんだろうか、
とうとう2人の身に何か起こったのか。
そんな焦りと不安が最高潮に達した頃。
呼び出し音が途絶え、電話が繋がる。
少しでも早く伝えたくて、一息でそう言うと。
信じられないと言う声色。
もう希望は見えた。
きっと璃夢喜ぶから、と促す。
途端に遠慮がちになる赤峰くん。
こういうのこそ自分の口から言うものだと伝えても、
彼の歯切れは悪くなって行く一方だ。
この辺りで、勘づき始めていた。
普段の赤峰くんなら、こんな所で迷ったりしない。
自分が伝えたいと言うはずなのに。
拭い取れない違和感を、否定して欲しくて。
そう、問いかけてみたけれど。
私の願い通り、彼が秒で否定してくる事は無くて。
むしろ『肯定』を意味する無言が、
電話の向こうで続いている。
理由も分からないままでは何も言う事が出来ない。
ようやく聞こえた赤峰くんの声は、震えていて。
次の瞬間。私は驚きのあまり、スマホを耳から離す。
別、、れた?
誰よりも赤峰くんを想っていたあの璃夢が、
別れようと言った?
信じられなくて、信じがたい。
けれど。何度聞いても赤峰くんの返答は変わらない。
璃夢は...1人で全て背負い込んで、
成し遂げようとしている...そんな予感がした。
そんな事、できる訳が無いのに。
取り返しがつかなくなる前に。
間に合わなくなってしまうから。
用意をしている音が聞こえる。
私も上着を羽織りながら会話をして。
申し訳なさそうな声を出す赤峰くんに、
大丈夫と伝えて。
電話が切れた途端、家を飛び出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。