第53話

『トラブル、再び。①』
2,009
2020/03/21 15:22
穏やかな陽射しが差し込む、午後のリビング。
お気に入りのソファーに座って、
昨日上げた動画のエゴサをしていた私は。
ふと、手を止めた。
璃夢
璃夢
.......『むぅの最新情報』.....?
私が今までの活動を、まとめてくれたのだろうか。
そんな事を呑気に考え、サイトを開いた私の顔は。
数秒後に、凍りつく。
璃夢
璃夢
えーと、なになに...?『むぅについて。
名字は三条、下の名前は調査中!』.......
炎上した過去の反省を活かし、
あれだけ厳重な注意を払いながら。
璃夢
璃夢
ーえ。ちょっと待って。
何で、、、私の本名が公開されてるの
守って来た情報が、ネット上で公開されていた。
その後も、どこから仕入れて来たのか。
並べられている本物の情報たち。
璃夢
璃夢
まだ、ある...
『年齢は莉犬くんと同い年の21歳、
身長は推定148cm。』
身長に至っては、私を見た事が無ければ。
分かるはずもないのに。
璃夢
璃夢
(.....もしかして、身バレしてる?
いつもの放送でも身体は映してない...)
厚手のパーカーを着て、お面を被って。
隠した努力は、何だったのか。
璃夢
璃夢
(...このままじゃ、フルネームがバレるのも
時間の問題。何とかしないと...)
既にシェア数は1万を超えていて。
完全には削除出来ない事を意味していた。
璃夢
璃夢
(と、とりあえず...相談しよう。
一度話し合わなくちゃ。)
反論の放送をしたいが、
変に揚げ足を取られてしまっても困る。
焦る気持ちを抑えながら、出先からの帰りを待った。
ーそして、30分後。
莉玖
莉玖
ただい.....
璃夢
璃夢
りっくん、どうしよう...!
帰って来た彼の声を遮り、リビングへと引っ張って行く。
莉玖
莉玖
...璃夢、どうしたの?落ち着いて...
璃夢
璃夢
これ、見て。
そしたら私が何で焦ってるか、分かるよ
椅子に座らせ、例のサイトを見せると。
素早く目を通した彼の瞳が、大きく見開かれて。
莉玖
莉玖
.......これ...結構ヤバい所まで、バレてるよね
緊急の作戦会議が始まる。
莉玖
莉玖
待って。他のメンバーも呼ぶ。
何か良いアイデア、くれるかもしれない
本題に入る前に。
まずはりっくんが、すとぷりの皆さんを呼んでくれて。
璃夢
璃夢
確かに...人数は多い方が良いかも
知恵袋は沢山居てくれた方が良いなと納得する反面、
申し訳なくなった。
莉玖
莉玖
でしょ。急いで来てくれるよう頼んだから
いつも、いつも。
助けて貰ってばかりで。
璃夢
璃夢
...ありがとう.....ごめんね
何も、返せていないのに。
莉玖
莉玖
ー大丈夫。璃夢を守るのは、俺の役目。
...譲りたく、無いんだよ?
優しい言葉で、声で、表情で励ましてくれる。
璃夢
璃夢
(.......りっくんは、私の王子様って思って。
良いのかな)
ステージ上の彼も大好きだけど。
私だけが知っている彼は、もっと好きだ。
ーまたひとつ。りっくんの事が好きになった。

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