第39話

第38話
2,159
2020/01/31 12:44
誰もいなくなった放課後の教室で、
りっくんと向かい合う。
璃夢
璃夢
わざわざ来て貰ってごめんね。
...私のせいで、大変なのに
ーそう。大変なのに。
莉玖
莉玖
璃夢が悪い訳じゃないよ。
気にしなくて大丈夫だから
私はこれから彼の為と言いながら、
自分の都合で彼と別れる。
璃夢
璃夢
(あーあ。幸せだったな、凄く)
目を閉じれば、全ての思い出を鮮やかに思い出せて。
璃夢
璃夢
(...もう、しばらくは。
恋なんてしない)
朝や放課後、手を繋いで歩いた通学路での会話。
誰よりも試合で輝いていたその姿。
優しく私を呼んでくれる、彼の声。
璃夢
璃夢
(自分の事の責任を自分で取れるように
なる、その日まで。)
りっくんだけを想って、生きていく。
璃夢
璃夢
(何よりも誰よりも大好きだった。
...もう、愛してた)
魔法は長くは続かない。そう想いながらも落ちた恋。
璃夢
璃夢
ーあのね。言ってしまえば。
炎上を止めるのはもう不可能だから
解けた魔法の中から現実をすくい上げ、
彼に突きつけた。
莉玖
莉玖
.........璃夢.....大丈夫、必ず
必ず止める、そう言おうとした彼の声を遮って。
璃夢
璃夢
ーだから。もう、リスナーさんの
言う通りにするしかないと思うの
もう、あがくのはやめよう。と伝える。
莉玖
莉玖
ーえ?
意味が分かったのか、顔色が悪くなっていく
りっくん。
璃夢
璃夢
嘘を、本当にしよう。そうすればー...
皆の怒りも、収まると思うんだ。
本当は、『嘘だよ』って抱き締めたい。
莉玖
莉玖
ちょっ、ちょっと待って璃夢
それってさ、つまり...
『大好き』を叫びたい。
璃夢
璃夢
もう、分かるよね?ーごめんね。
でも、これが最善だと思う
だけど、それをしてしまったら。
次に傷つけられ、矛先を向けられるのは間違いなく
彼だ。
莉玖
莉玖
.....本気なの?
璃夢
璃夢
ー...うん
気持ちが揺らがないよう、
心の内側に入り込ませないよう。
偽物の笑顔の仮面を被って。
莉玖
莉玖
...っ、やっぱりこんなのおかしい。
リスナーに振り回されて、終わりなんて
璃夢
璃夢
ー仕方ないんだよ
泣きそうな彼を、突き放す。
莉玖
莉玖
...璃夢は。璃夢はさ。
俺の事好きじゃ無かったの?
莉玖
莉玖
璃夢に恋してたのは、俺だけ?
璃夢
璃夢
(ー違う。全然違うけど...)
私はもう、嫌われたって良い。
そうしてまで彼のこれからを守りたいから。
璃夢
璃夢
.........そうだって言ったら、
どうする?
その為に、嘘を吐いた。
彼の心から私と言う存在を消し去るように。
莉玖
莉玖
...................は.....?
璃夢?冗談、だよね?
そうだって言って。お願いだから。
思惑通り、彼の顔が悲痛に歪んだけれど。
璃夢
璃夢
...ごめん。冗談じゃない。ーだから
気にしないように、トドメを刺すように。
りっくんを傷つける、最悪の一言を口にする。
璃夢
璃夢
ねぇ、りっくん
璃夢
璃夢
ー別れようか

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