第24話

第23話
2,611
2020/01/12 14:21
それは、りっくんのこんな一言から始まった。
莉玖
莉玖
俺、今度部活の試合があってさ。
都合が合えばなんだけど...
璃夢に見に来て欲しくて。どうかな?
璃夢
璃夢
ー試合?...部活?
普段の彼との会話の中では聞き慣れない単語を
首を傾げながら呟く。
私の反応に、りっくんが驚いたように言った。
莉玖
莉玖
えっ、もしかして璃夢...
莉玖
莉玖
俺が部活入ってる事、知らない?
全くもってその通り。
申し訳なく思いながら手を合わせる。
璃夢
璃夢
ごめん...てっきり助っ人だけかと
莉玖
莉玖
いや。言ってなかった俺が
悪いんだけどねw
ほんの少しだけ寂しそうに笑っているのが分かって。
また"作らせて"しまったと自己嫌悪に陥る。
璃夢
璃夢
(...決めた)りっくん!
莉玖
莉玖
ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...どしたの!?
普段大声を上げることのない私が突然大声を上げた
ものだから、りっくんは盛大にむせた。
璃夢
璃夢
えっと...まず。りっくん大丈夫?
慌てて背中をさすると、りっくんは笑う。
莉玖
莉玖
ごめんww俺は平気w
璃夢
璃夢
ならいいんだけど。それでね、私ね
元気そうな様子に胸を撫で下ろしてから、
胸の前で小さく拳を握って宣言した。
璃夢
璃夢
全力でりっくんの事応援するから!
覚悟しててね!
恥ずかしくなる位に気合い入れちゃうよ、と
ウィンクする。
莉玖
莉玖
じゃあ...来てくれるの?
びっくりしたように目を見開く彼。
行かないとでも思ったのだろうか。
璃夢
璃夢
当たり前!りっくんのカッコイイとこ
いっぱい見たいもん!
試合を楽しみにしている事が沢山伝わるように
そう言うと。
莉玖
莉玖
凄い、嬉しい。頑張るから、全部見てて
わずかに頬を赤く染め、柔らかい笑顔を見せてくれたりっくん。
璃夢
璃夢
...もちろんだよ!
作られていない笑顔だった事が嬉しくて、
私も穏やかな気持ちになる。
その内に、彼がとんでもない事を言い出した。
莉玖
莉玖
あー、やばい。試合も楽しみだけど
璃夢が来てくれる事が嬉し過ぎて
集中出来なそうww
璃夢
璃夢
ええっ!?じゃあ行かない方が...
いい試合が出来なくてりっくんが怒られるのは嫌だと
伝え、行くのを本気でやめようとすると。
莉玖
莉玖
それはダメ
怖いくらいの真顔で手首をキュッと掴まれた。
璃夢
璃夢
(き、気迫が凄い...)分かった、
分かったから。ちゃんと行くよ
莉玖
莉玖
来なかったら俺泣くからね
冗談にも聞こえないその言葉に私は一瞬青ざめ、
それから深く頷いた。
璃夢
璃夢
(100%笑い者になる...!)
うん、絶対行く。見逃せないもん笑笑
彼氏の試合姿を見たくない彼女が存在するはずない。
莉玖
莉玖
ー良かった。実はさ
莉玖
莉玖
来て貰えないんじゃないかなって。
思ってたんだ
その言葉に私は大きく目を見開いてー
それから尋ねる。
璃夢
璃夢
...どうして?
莉玖
莉玖
それはー...
彼の口から飛び出したその"理由"は。
私を少しだけ怒らせるのには十分だった。

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