【莉犬side】
俺は今、とても機嫌が悪い。
...........何故なら。
ころちゃんと璃夢の距離が、必要以上に近い為である。
メンバーが璃夢に懐いてくれるのは嬉しい。
嬉しい、けど。
やっぱり妬いてしまう。
皆の手前、自分から構ってと言うのは恥ずかしいし。
話しているのを邪魔したい訳でも無いが。
俺だけの『特別』が減るのは、ちょっと寂しかった。
ひとまず構って貰うのは諦め。
なーくんの指示通り、
自分の希望場所に手を挙げる事にした俺達。
数分間の考える時間の末。
今回の合宿地に採用されたのは。
自然の恵みが豊かな、北海道。
すっかり打ち解けた様子で話している璃夢へのお説教は、
メンバーが帰るまで待つ事に。
でも、なーくんにはお見通しだったようで。
気を利かせて、メンバーを連れて帰ってくれた。
_____パタン。
急に静かになった部屋で、2人きり。
少し寂しそうな眼差しを、閉まった扉に向ける璃夢。
それだけでも。
この独占欲が引き出されるには、十分。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。