第21話

第20話
2,623
2020/01/11 15:45
昼休み。机を挟んで向かい側に座る藍花に、
朝の事を伝えると。
藍花
藍花
それは...色々めんどくさい事になったね
璃夢
璃夢
面倒、ってよりね
璃夢
璃夢
すごく、すごく...不安なの
璃夢
璃夢
もしかして、振られるんじゃ無いかって
藍花
藍花
璃夢...
自嘲気味に笑いながら、更に続ける。
璃夢
璃夢
本当に、めんどくさいのは私だなって
つくづく...
藍花
藍花
それは違うよ、璃夢
璃夢
璃夢
ーえ?
私が何を言おうとしたのか察したのだろうか。
途中で遮った藍花の声は少しだけ怒りが滲んでいて。
藍花
藍花
璃夢は彼女なんだから、不安になるのは当然。それに...好き、って証拠じゃん
藍花
藍花
赤峰くんの事。本当に好きだから、
不安になるんだよ
いつだって、迷ってばかりの私に答えを
教えてくれる。
璃夢
璃夢
そう、なのかな。
私...重くない?
私が考え過ぎないように、さり気なくフォローを
入れて。
藍花
藍花
全然。むしろ不安にならないのかなって
思ってたくらいだし
藍花
藍花
もっとワガママになっていいんだよ、
璃夢は。欲張らないと、取られるよ
真剣に話を聞いて、意見してくれて。
璃夢
璃夢
うん...ありがとう
璃夢
璃夢
ちょっと、楽になった
マイナスの感情を減らしてくれる。
藍花
藍花
ーなら、良かった。
私の言葉に表情が少し緩み...
またすぐ引き締まって。
藍花
藍花
泣かされたら、言いなよ?
やっつけてあげるから
璃夢
璃夢
ありがとう笑笑
その時はやっつけて貰おうかな笑
頼もし過ぎる微笑みが私を元気にしてくれる。
藍花
藍花
璃夢の事幸せに出来ない人なんか、
私が許さない。それが女子でも男子でも
藍花
藍花
絶対容赦しない
璃夢
璃夢
む、無理だけはしないでね?
藍花の場合本当に容赦しないので少し不安だけど、
これくらいの意気でいてくれた方が、心強い。
ーそして。緊張の放課後はすぐにやって来た。
莉玖
莉玖
じゃあ。行ってくるね
璃夢
璃夢
うん...えっと
何と言うべきなのだろう。
気持ちばかりが焦って上手くまとまらない。
璃夢
璃夢
早く、帰って来てね
結局言えたのは、一言だけ。
その言葉に頷いた彼は歩き始めかけて...
思いついたように振り返る。
莉玖
莉玖
もちろん。ーそうだ、璃夢
莉玖
莉玖
大好きだよ。...だから、そんな
泣きそうな顔しないで
そのまま一瞬だけ優しく抱き締められて。
そっと離され、囁かれた。
莉玖
莉玖
...心配で、行けなくなる
璃夢
璃夢
あ...ごめん...
慌てて謝ると、彼は大丈夫。と笑った。
莉玖
莉玖
今度こそ。行ってきます
璃夢
璃夢
行ってらっしゃい、りっくん
笑顔で見送ったものの、やっぱり不安で。
どうか、私を選んでくれますようにと、願う。
璃夢
璃夢
(分かってたけど...やっぱ他の女の子と
2人きりでいられるの、嫌だな)
彼のいない、憂鬱な時間が始まって。
今まで黙ってくれていた藍花が口を開いた。
藍花
藍花
大丈夫?璃夢
藍花
藍花
無理して、気丈に振る舞わなくても
良いんだよ。今は
その言葉に緩みきった心が壊れる。
璃夢
璃夢
やだ...本当、は...
行って欲しく無かったの
藍花
藍花
うん
璃夢
璃夢
怖い...戻って来て、
河瀬さんの彼氏になってたらどうしよう
藍花
藍花
それは大丈夫。
赤峰くん、璃夢の事大好きなんだから
璃夢
璃夢
辛いよ...恋ってやっぱり、
嬉しい事だけじゃ無いんだね
藍花
藍花
ーそうだね
優しい藍花の声と相槌が、私の隠していた本音を
引き出して行く。
璃夢
璃夢
...痛いなあ、すごく。もう会いたいし
ズキズキと痛む心を抑え込んで。
藍花
藍花
きっとすぐ、戻って来るよ
大好きな人の帰りを待った。

プリ小説オーディオドラマ