そんな事を思っていたのか、という驚きと、
勘違いされていた事へのショックとが
ごっちゃになって。
子供みたいにむむっとした顔をしながら
彼を見上げて、そう言った。
すると彼は申し訳なさそうな声で私に謝る。
真剣に言ったつもりだったのに、
罰の内容がおかしかったらしい。
そのおかげで場の空気は和んだから、
結果的には良かったけれど。
素早く話題を試合の日時の方に切り替える。
りっくんは一瞬考えたあと、すぐに答えてくれた。
何も予定が無くて良かったと思いながら、頷く。
でもりっくんは心底心配そうに付け足した。
愛して貰ってるなあ、なんて思いながら笑う。
それでも、りっくんの顔は晴れなくて。
それどころか、更にネガティブな発言をしだす。
それを止める為、トン、と胸を叩いた。
ようやく少しは安心したのか、
約束を取り付ける事で納得してくれた。
せっかくだから藍花にもりっくんの格好良い所を
見てもらいたいと思い、そう伝えると。
彼は控えめに、でもハッキリとこう言った。
最後、何となく冗談めかしたような雰囲気があるもの
の、言葉には真剣さがしっかり混じっていて。
いつも通りの安定したストレートな物言いに、
照れてしまう。
りっくんは私の照れをすぐに見抜いて。
最初とは打って変わって楽しそうに、幸せそうに
笑った。
それを見た自分の顔も思わずほころぶ。
幸せな朝の時間が、穏やかに過ぎていく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。