第73話

『初めての大ゲンカ......!?④』
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2020/07/10 16:00
俯きながら、歩いて居ると。
自然と行った事のある場所に向かう物で。
璃夢
璃夢
(......嘘、藍花の家.........)
高校時代の大親友の家の前に着いて居た。
いきなり訪ねたら、迷惑だろうか。
彼女も高校生だった頃とは違い、仕事が忙しいらしく。
『じゃあ、またね!』
『うん、今度遊ぼね!』
最後のLINE履歴も、1ヶ月前で止まって居る。
璃夢
璃夢
(行くだけ行って見て...
ダメだったらビジネスホテルにでも泊まろう)
ただ、誰かに側に居て欲しくて。話を聞いて欲しくて。
縋るような気持ちで、彼女の部屋のインターホンを押した。
藍花
藍花
はーい...?って璃夢!?
間も無く扉が開き。
藍花
藍花
何でこんな時間に、こんな所に...赤峰くんは?
即座に驚きの表情を浮かべる親友。
璃夢
璃夢
それ、がね
苦笑いを浮かべつつ、手短に今までの事を話すと。
藍花
藍花
そんな事が...璃夢がする訳ないのに...
納得行かない、と言いたげにその眉間に皺が寄ったけど。
藍花
藍花
とりあえず入って。話聞くよ
深夜のアポ無しと言うマナー違反をしても。
ニコッと柔らかい笑顔を浮かべて扉を大きく開いてくれる。
璃夢
璃夢
うん、ありがとう...ごめんね忙しいのに
昔から不器用だった藍花の優しさが、嬉しかった。
藍花
藍花
良いんだよw
親友の危機は私の危機なんだから!
背中に手を当てられるまま、中に足を踏み入れて。
彼女の後ろに付いてリビングへ。
どう見ても仕事中なパソコン、大量の書類、ホチキスなど。
璃夢
璃夢
(これ...絶対忙しくしてたよね)
色々な事が垣間見える物が散乱する中で。
璃夢
璃夢
...藍花の実家の匂いだ......
私は、藍花のくれたココアを片手に話し始める。
藍花
藍花
何それwww
どんな匂いよ、同じ洗剤使ってるとか?w
彼女も、眠気予防なのか。 ホットコーヒーを持って居た。
藍花
藍花
ええっと...話を要約すると。
私の長々とまとまって居ない話を。
藍花
藍花
璃夢は、赤峰くんの誕生日が近いから
プレゼント見に行ってたのに
藍花
藍花
あまりに出かける頻度が高いから
浮気疑惑を掛けられちゃった...って事?
嫌な顔ひとつせず最後まで聞いてくれた彼女は。
璃夢
璃夢
そう。私も出かけて無いのが悪いんだけど...
あまりに決め付けられ過ぎちゃって
璃夢
璃夢
さすがに傷付いたって言うか。
信頼されてなかったんだなーって
藍花
藍花
璃夢.........大丈夫、何とかなるよ
私がいつでも此処に居るから、と笑ってくれる。
単純に、まず疑われてしまった事がショックだった。
璃夢
璃夢
...私、そんなに悪い事したかな...
勝手に信じてくれると思って。
璃夢
璃夢
最近やっと優しくなれた気がするのにな...
ずっとファンを大事にする事に欠けて居た。
ミステリアスで冷たい私は、もう居ないから。
璃夢
璃夢
(どうなっちゃうんだろう、これから...)
これからも2人で、リスナーと同じ目線に立ちたいと。
そう、願ってしまうのだ。

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