シルクside
教室でマサイと話しているとクラスメイトに突然チョコを渡された
まぁバレンタインで本命チョコなんて、到底俺には縁がないだろうなぁ
欲を言えば、マサイから欲しいけど…
マサイは俺の親友で片想いの相手
きっと叶わないんだろうなあ
やった、今日はマサイと2人きりで帰れる!
この恋が実らなくても、せめて傍にいることは許されるよな…
放課後
俺はマサイに声をかけて一緒に学校を出た
マサイは黙って俺の隣を歩いていた
明らかに様子がおかしい
なんかあったのか?
マサイは頬を赤らめながら、かわいくラッピングされた小包を渡してきた
え、今好きって言った?
マサイが俺のこと好きって言ったのか?
夢じゃねえよな?
ほっぺつねったらベッドの上とかないよな?
って、大声でなに恥ずかしいこと言ってんだよ俺!
辺りを見ると通りすがる人たちが俺たちのことを見ている
俺たちは早足で家に向かう
家に入り、家族がいないことを確認してから、マサイを部屋に連れて行く
俺はマサイの方に右手を差し出しだ
マサイはその手を両手で優しく握った
俺はマサイを引き寄せて思い切り抱きしめる
でも身長が小さいから顔がマサイの胸に埋まっちまう
すると、マサイの心臓の音が聞こえてきた
すげえ早い
きっと俺も早いんだろうな
幸せそうに笑うマサイに、俺はそっとキスをした
俺は今年のバレンタインを一生忘れないだろう
ーーーーーーーキリトリーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。