千明が6歳、私は12歳に成長していた
実の親からの暴力で
怪我が治るどころか、
悪化してくのが日常茶飯事だった
と言って、スムーズに手当てを進める千明
友達 か
私にはそんな奴いない
外へ出ても、
親が広めたデタラメの噂
左右違う色をした目
この二つが邪魔して、友達なんざ作れない
作れた物は
私を否定する
大量の輩だった
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ある日、用事で外に出ていた
その帰りに絡まれた
私は分かっていた
こんな奴ら、いつも鍛錬してる私なら
難なくぶっ倒せることを
だけど
人を殴る勇気が無かった
あんなに鍛錬しといて
いざとなって、私は役に立たない
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結局、刀を奪われた
自分で研いだ刀を
私はこの後の結末を知っている
どうせ
やっぱりこうなった
こんなボロボロの精神に
追い討ちを掛けるように
大粒の雨が一気に降ってきた
私はため息をし、
地面に倒れこんだ
刀もボロボロになって帰ってきた
愚痴を密かにこぼした瞬間
視界の端から、傘が現れた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。