千明は、人懐っこい性格だと思っていた
こんな私にも、懐いてくれた
いや
私にしか懐けなかったのだろうか
千明が成長していく姿を
私は横目で見ながら、毎日変わらず剣術を磨いた
こんな小さい子供に
軽々と教えていいものなのか
私は躊躇した
人を刀で守るなんて、そんなヒーローみたいな事
したことない
無心で振ってるんだ
手汗が滲んだ
自分で研いだ
この刀を
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私は、千明が生まれるまで
毎日朝から晩まで刀を振り続けて来た
けど、今になっては
例え、左右同じ目で生まれたとしても
実の親から、気づかない内に
ほっとかれている千明を
世話するのは、私の役目だ
だから
千明に寂しい思いはさせないと
千明を最優先に時間を使う
無視はするが、
私のように暴力をふってないだけマシだった
こんな嘘を余裕に吐ける自分も
どうかと思う
こんな姉ちゃんで「ごめん」と
つくづく思う
妹を不安にさせるなんて
姉ちゃん失格さ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。