兄弟なのに彼女いるかいないかも知らなかったんだ
これは多分、ナムさんがあえて教えなかったのかもしれない
超がつくほどブラコンなオッパだから、ナムさんが結婚するって聞いたら、すぐに騒ぎだすのは目に見えてる
ショックを受けるオッパに対して、私はなんて声をかけるべきか困った
なんで私の方がこんなに気を遣わないといけないのだろうか
軽く気まずい沈黙が訪れたころ、車は目的地に到着した
着いた先は、海だった
車から外に出てみると、風は強いし、波は荒いし、とにかく寒い
そんな常識聞いたことない
そう言ったオッパの横顔はとっても切なかった
そして、本当に
と海に向かって叫んだ
私に叫ばせるためにここに来たくせに、なんで自分が1番に叫んでるのだろう
とはいえ、叫ぶんなんて恥ずかしい真似、最初からする気もないんだけど
優しいのか、優しくないのか、かなり微妙
いつもいつもじんオッパは優しさはメチャクチャ
それでも、そんなオッパのメチャクチャな優しさが、実は………ちょっと好きだったりする
いつもいつも、私の気づかぬうちに、その優しさに救われてきたのかもしれない
この海を見ていて、ふと思い出したけど
6年前の世界滅亡(予定)日の出来事も、今にして思えば
あれもオッパなりの優しさだったのかもしれない、そう思う
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。