第33話

☪︎*。꙳
3,085
2021/07/24 15:19
倒れたあなたの下の名前をプレハブの中のベットへと運んだ


灰谷兄妹はあなたの下の名前が寒くないように毛布をかけてあげていた


それでもあなたの下の名前の震えは収まらなかった


なにかに怯え、倒れて眠る今でさえ魘されていた

イザナ
なんで…


イザナは何が起きたのかよく分かっていなかった


俺らでさえあの日以来ここまで怯えるあなたの下の名前は見ていない

マイキー
話は後だ


俺はベットで眠るあなたの下の名前を横抱きしそのままソファーに座った


それでもあなたの下の名前の震えは収まらなかった

マイキー
悪ぃけど、ケンチンの上着貸してくんね??
ドラケン
おう


いつも一緒にいるやつの匂いがついたものの方が安心するだろうとケンチンの上着をあなたの下の名前にかけてやった


マイキー
大丈夫だから…
ここにいるから…


そう言って俺はあなたの下の名前の背中を撫でた


少しづつ顔色も良くなって、規則正しい呼吸に戻っていった


バジ
大丈夫か??
マイキー
うん…落ち着いたみたい


あなたの下の名前が落ち着いたあと少しの沈黙が続いた

イザナ
悪かった…


イザナがその沈黙の中、口を開いた

マイキー
イザナのせいじゃないよ…
イザナ
でも…
マイキー
あなたが味覚障害になって眠れなくなった理由、前言っただろ??
リンドウ
精神的なものだろ??
ラン
でも、味覚障害は治ってきたし、眠れるようにもなったって…
ミツヤ
そーだけど、根本的なとこはなんも治ってないんだよ…
イザナ
根本的なこと??
マイキー
あなたはね、心の病気なんだって…
ラン
精神病ってことか??
マイキー
そーゆうこと。
場地が死にかけた日の事がトラウマになってんの。
バジ
それだけじゃない。
こいつは周囲の人間が居なくなることに怯えてるんだよ…


あなたの下の名前は口には出さなかったけど、一虎が東卍を抜けようとしていた時酷く怯えていた


場地だけじゃなくて、あなたの下の名前の周囲の人間、つまり俺らが居なくなることに対しても恐怖を感じているんだ

マイキー
確かに慎一郎を殺した一虎を許せない気持ちは分かるよ…
でも、それはもう変えられない過去なんだよ…


もうどうしたって慎一郎は生き返らない


それが現実なんだよ


マイキー
でも、あなたは違うんだ。
あなたの周囲の人間が居なくなればこいつは次こそ壊れてしまう…
自殺しかねないんだよ…


自殺…


その言葉だけは言いたくなかった。


いつか壊れたあなたが自分から俺らから離れていってしまうんじゃないかって


マイキー
だから、俺からもお願いだ。
一虎に手は出さないでくれ。


少しの間沈黙が続いた

カズトラ
イザナ君。
慎一郎君のことは俺がこの先、一生をかけて償う…
慎一郎君が大事にしていたあなたの事もこれから先守っていく。
許してくれなんてそんなこと言うつもりはないけど、俺はこの先も東卍にいるつもりです。


そう言って一虎はイザナに頭を下げた


イザナ
本当は、許すつもりでいたんだよ。
でも、いざ目の前にお前が現れると怒りが湧いてきて…
イザナ
殺したいほど憎いと思ったよ…
でも、それ以上にあなたが死んでしまうんじゃないかって方が怖かった…
また慎一郎が死んだ時みたいに何も喋らなくなるんじゃないかって…


慎一郎が死んでからあなたの下の名前は心を閉ざした


いつも笑っていたいたあなたの下の名前が全く笑わなくなって俺らの前では泣かなくなった


それどころか言葉を発さなくなって…


やっと言葉を発したのはそれから2ヶ月後だった


イザナ
お前のためじゃない。
あなたの為に、お前を許すよ…
カズトラ
ありがとうございます。


そう言って一虎はもう一度頭を下げた












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