ばっくんの声がする…
うちは腕に力を込める…
ガバッ
うちはじろくんに引っ張られて、後ろに倒れ込む…
倒れ込んだとこに、じろくんの足がちょうどあって、クッションになった
なんていつもみたいに会話していると急に空気が重たくなった…
じろくんは真剣な表情をしてうちの名前を呼んだ…
もしかしたらバレたかもしれない…
どうしよう…
頭の中はぐちゃぐちゃだったけど、笑顔で隠した…
じろくんは確信があって言ってる…
確かに急に倒れたらそれはおかしく思うだろ…
でも、ただの貧血だ…
それ以外はなんもおかしいとこはなかった…
うちは気丈に振舞った…
ばっくんが地を這うような声で言った…
うちははぐらかした…
気持ち悪い…
なんで…ばっくんにそんなこと言われなきゃいけないの…
プツンッ
うちの中で何かが切れる音がした…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!