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2021/08/25

第8話

【生活5日目】誕生日だよご先祖様!
 守護霊ご先祖様、アウストゥード様との生活5日目。今日は特に予定もないので、一日家でゆっくりしようと思っている。
 まずは勉強でもしようかと思い、諸々の準備をしていると、呼び鈴が鳴った。
「はーい、って……。あれっ、どうしたの?」
 玄関の扉を開けると、二馬鹿……じゃなくてリョーゴとマリが立っていた。二人は何やら荷物を持っている……。
「ハル、今日何か用事ある?」
「いや、特に……ないよ」
「今から家上がっても大丈夫か?」
「うん。大丈夫だけど……」
 家には今、アウストゥード様が絶賛居座り中だが、この二人は前に会ったことがあるから問題無い。
「どうしたの? この間の過去問で、何か聞きたいところがあった?」
「ううん、違う違う! 今日は――」
「おぉ、お主らはこの間の……」
「あっ! アウスっちー! お誕生日おめでとー!」
「おめでとー!」
 アウストゥード様の姿を見るなり、二人はクラッカーを取り出して、パン、と鳴らす。
 そうだった……。今日は、アウストゥード様の誕生日……。完全に忘れてしまっていた。
「お主ら……。こ、この筒は……何じゃ……?」
 誕生日を祝われたことよりも、クラッカーに驚くアウストゥード様。これも、教科書に載せたい一面だ。
「アウスっち、知らないの? クラッカーだよ?」
「わしが生きてた頃にはなかったのう……」
「それより、今日はアウスっちの誕生日だから、あたし達で準備したんだ! と言っても、ケーキくらいしか持ってこれなかったけど……」
 マリが、持ち手のついた箱を顔の横に掲げる。
 あぁ、なるほど。これはケーキの箱だったって訳か。
「そうそう。それで、せっかくだからパーティーやっちゃおうぜって話になってさ……。ハルが大丈夫ならこのまま始めたいんだけど、どうだ?」
「うん。私も別に用事はないし、大丈夫だよ」
「ありがとー! いきなり押しかけちゃってごめんね!」
「ううん。それはよくあることだし。今からお茶作るね」
「おっ、サンキュー」
「ん? “さんきゅー”って、何?」
「あっ、いや。“ありがとう”って……」
「へぇ、聞いたことない言葉だなー」
 そんなやりとりを聞きながら、ケーキのお供の紅茶の準備をする。リョーゴの謎の言葉も気になるけど、さっきからアウストゥード様がやけに静かだな……。
「うっ、うっ……。お主ら……。わしの、ために……。ありがとうなのじゃぁぁぁぁーっ!」
 なるほどなるほど、泣いてたのね……。
「アウスっちー! まだ泣くの早いよー!」
「泣いてたらケーキ食えねぇぞー」
 だから、君達……。ノリが軽いって……。
「よし。あとは蒸らすだけだから、ケーキを先に食べようか」
「ケーキじゃケーキじゃー!」
 こっちはこっちで、切り替えが早すぎて怖い……。
「じゃあ、改めまして、アウストゥード様。350歳のお誕生日、おめでとうございます」
 私がそういうと、二人が拍手で盛り上げてくれた。
「ありがとうなのじゃ。では、ケーキを頂こう」
 ケーキを一口食べた瞬間、アウストゥード様が目を丸くする。
「何じゃこれは!? わしの知っておるケーキと比べ物にならぬくらい美味いではないか!」
 この前のクッキーと同じような反応だ。やっぱり、300年以上も経つと、食べ物も進化しているようだ。
「形はほとんど同じなのじゃが、クリームの味が全然違うのう……。こっちのほうが甘くて美味しいぞ。あと、スポンジじゃったか。これの食感が……。今思うと、わしの頃のは酷かったのう……」
「喜んでくれて良かったー! また今度、違うもの持ってくるねー!」
「あ、あぁ……」
 あれ? アウストゥード様、どうしたんだろう。食いつくと思ったのに……。
「もしかして、クリーム食いすぎて気分悪くなった?」
「う……うぷっ……。そうかもしれんのう……」
「アウスっち、大きいの食べたもんね……」
「と、とりあえずお茶を!」
 慌てて紅茶を入れ、アウストゥード様に渡す。
「ふぅ……少し和らいだぞ。薬草茶じゃから、余計に体に染み渡るのう」
「それなら良かったです。何かあっても、医者にかかれませんからね」
「確かにー! お医者さんのほうがびっくりして倒れちゃうかもねー」
「そう言えば、お主は……。わしを見た時、驚きのあまり気絶しておったな……」
 アウストゥード様が私の方を見て言う。
「ちょっ――」
「えー! ハル、お前気絶したのかよ! やべー!」
「ちょっと! 余計なこと言わないでいいですから!」
「ほっほっほっ。ほれ、お主らもケーキを食べようではないか。食べないなら、わしがいただくぞ?」
「あの調子だと嫌な予感がします。よって、私のぶんは自分で食べさせて頂きます!」
 誕生日パーティーは、まだこれから。主役が倒れては困るからね。