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2021/10/04

第5話

【生活2日目】勉強会だよご先祖様!
「えー、では。ただいまより、“目指せ赤点回避の会 総合魔法学編”を……」
 もうそろそろテスト期間ということで、赤点組の指導をしよう! ということで始まった恒例企画、“目指せ赤点回避の会”。この連休中を利用して、苦手科目を得意な人に教わって少しでも克服しようという会なのだが……。
「やっぱり、アウストゥード・オプターナ様!?」
「そうじゃよ」
「えぇー!?」
「す、すげえ……」
「分かってるだろうけど、他の人には絶対に秘密にしてよね……」
 狂っている。計画が。全部。アウストゥード様この呑気男のおかげで……。
 今回、勉強会にやってきたのは二人。クラスメイトのリョーゴとマリだ。自称、“三馬鹿ならぬ二馬鹿”だそうで……。
 予想通り早速、勉強そっちのけでアウストゥード様と話が弾んでいる。
「ハルの守護霊だよな? この間の授業の時に本当に呼び出しちゃったのか?」
「いや。それは関係ないんじゃ。わしがこの世界にやってきた理由! それは……」
「それは……?」
 そこの二人、興味津々にならなくていいから。
「もうすぐ、わしの350歳の誕生日なのじゃ!」
 うわっ、今まで見たことないくらいのテンションに眩しい笑顔。可愛いと思ってしまったのが悔しい。
「アウスっちー、誕生日いつなのー?」
 何だその呼び名は……。まあ、何とでも呼べと言っていたし、本人も特に何も思っていなさそうだが……。あと、ノリが軽すぎるのを何とかしなさい。
「今とは暦が違うからのう……。ちょっと計算するから待っておれ。確か今は月が8つじゃから……。えーと、4の月マルシス1週の6日目じゃ」
「おっ! もうすぐじゃねえか! パーティーしようぜ!」
 へぇ、3日後が誕生日なのか……。リョーゴはやる気満々の表情だが、本当にやるつもりなの……?
「わしの誕生日パーティーか!? 嬉しいのう!」
 ちょっと!? アウストゥード様!? すごい食いついてるんだけど!?
「パーティー! パーティー!」
「はい! パーティーは分かったから勉強! 次のテストでも赤点だと追試なんでしょ?」
「やっべぇ! そうだった!」
「そう思ってるならさっさと教科書出す!」
「はいぃ!」
 無理やり勉強モードに切り替えさせる。強引なのはあまり良くないとは思うが、今回ばかりは仕方がない。
「あれ? あたしの教科書……」
「マリ、どうしたの? 教科書忘れた?」
「いや、絶対に持ってきたはずだけど……」
 まさか……。
「おっ、いたいた。ほら見ろお主ら! わしじゃ!」
 ジャジャーン! という効果音がつきそうな勢いで、こちらに向けられた教科書。そこにはアウストゥード様の肖像画が載っていた……。
「なんだー! アウスっちが読んでたのかー!」
 はぁ、やっぱり……。
「どうじゃ、肖像画と比べてみて」
「本物のほうがイケメーン!」
「俺も同意」
 まあ、私もそれには同意だけど……。
「ほっほっほっ、それは嬉しいのう!」
「……じゃなくて! アウストゥード様! 教科書返してあげ……」
「あーっ、ここにもアウスっちの名前書いてあるー!」
「うわー! すげーんだな!」
「あ、あのねぇ……」
 もう、いつになったら勉強会が始められるのだろうか……。
「よし、とりあえずこのくらいかな」
 いつの間にか、外は夕焼け空に。最後に、これを……。と言いながら、二人に紙の束を渡す。
「この過去問集をやっておけば、かなりの点数が取れると思うよ。一回やって終わりじゃなくて、間違ったところは何度も解き直すこと。あと、苦手なところはきちんと確認しておくこと! じゃ、お互いにテスト頑張ろうね」
「おう! ありがとな!」
「ありがとー! アウスっちもまたねー!」
「またのぉー」
 玄関で二人を見送り、扉を閉める。
「よし、今から夕飯作りますよ! アウストゥード様も、料理が苦手なら克服しましょう!」
「わ、わしは遠慮するのじゃー!」
「あ、こら! 姿を消して逃げるのは反則ですよ!?」
『嫌なのじゃー! わしは食べる専門なのじゃー!』
 やれやれ。どうやらこちらアウストゥード様の苦手は、克服できないみたいだ……。