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2021/08/24

第7話

【生活4日目】訓練だよご先祖様!
「アウストゥード様! 起きてください!」
「ん、何じゃ……?」
「ほら、早く朝ご飯食べて!」
 眠っていたアウストゥード様の体を無理矢理起こし、ダイニングまで連れて行く。
「そう急かすな……。一体どうしたのじゃ?」
 朝ご飯を眠そうな顔で召し上がっているアウストゥード様。これも教科書行きだな。
「今日はぜひとも、来て頂きたいところがあるんです!」
 守護霊ご先祖様、アウストゥード様との生活4日目にやって来たのは……。お兄ちゃんの家!
「あ、分かってるとは思いますけど……。姿、消しておいてくださいね」
『もちろんじゃ』
 お兄ちゃんの部屋の前までやって来て、呼び鈴を鳴らす。
「お兄ちゃん、来たよー!」
「おう、鍵開けてるから入ってきなー」
『ほう……。小水晶で声を届けておるのか……すごいのう』
 流石大魔法使い、鋭い観察眼だ。
「はい、これ! 今週の差し入れ!」
 部屋に入り、毎週持ってきている薬草に加えて、昨日の手作りクッキーをお兄ちゃんに渡す。
「ありがとな、いつも助かるよ」
 私のお兄ちゃん、トーヤ・オプターナは、もともと戦士として活躍していたけど、今は教師を目指して試験勉強中だ。ちなみに、合格すれば私の学校で働くことになる。あぁー、楽しみ!
「お兄ちゃん、最近すごいことが起こって……。ちょっと見てほし……」
「わしじゃろ? わしの事じゃろ?」
 待ってましたと言わんばかりに、アウストゥード様が姿を現した。
 二言余計だが、正解である。
「えっ、おい! 嘘だろ!?」
 誰が現れたのか理解したようで、お兄ちゃんの顔が一瞬にして疑問から驚きに変わる。
「アウストゥード様!?」
「だいせいかーい!」
「オプターナ家の者なら分かって当たりま――」
「うおっ、本物だ! 触れる!」
「ぎゃー! 頬を引っ張るでない! 痛いではないか!」
 ちょっと、お兄ちゃん……。ご先祖様だよ……? 大魔法使いだよ……?
 と言うか……。みんな、受け入れるの早くない……?
「あっ……。わりぃ、ハル。そろそろ訓練の時間だ……」
「そっか。もうそんな時間か。じゃあ、そろそろ帰ろ――」
「わしが、訓練に付き合ってやろうか? お主の力、わしに見せてみよ」
「えっ! いいんですか!?」
 はい、ということで、やって来ました。訓練場。
 これ……アウストゥード様の魔法も見られるし、お兄ちゃんの訓練も見られるしで良いことしかないのでは……?
「わしの放つ攻撃魔法を、お主が防御するのじゃ。方法は、物理なり魔法なり何でも構わん」
「分かりまち……分かりましたっ!」
 大物を目の前にしているということで、やっぱり緊張はしてるみたいだ。
「よし! いつでも準備できてます!」
「お兄ちゃん頑張れー!」
 これは、すごいことになりそうだ……。私は、少し離れたところから二人を見ることにした。
 大剣を構えるお兄ちゃんと、右手を構えるアウストゥード様。両者の間にピリピリと緊張が走る。
Māgaマーガ fināmaフィナーマ, deoデオ! (火炎よ舞え!)
 アウストゥード様の凛とした声が、訓練場に響く。
 素晴らしい声に感激するのも束の間、大きな炎の渦が勢い良く放たれた。
Eiraエイラ vibaroヴィバロ! (大気よ震えろ!)
 お兄ちゃんもすぐに呪文を唱える。確か、あれは……剣を振ることで強い風を起こして炎を消す、結構強めの防御魔法……! 最初からすごいの使ってきたー!
 お兄ちゃんが剣を一振りすると、目も開けていられないほどの強風が吹き始める。
 何とか一瞬、目を開けた間に見えたのは、こんな風の中にも関わらず、お兄ちゃんにじりじりと迫る炎だった。
 どれくらい経っただろうか。ふと、風が止んだ。恐る恐る目を開ける。
「お兄ちゃん!? 大丈夫!?」
 地面にうずくまるお兄ちゃんのもとに駆け寄る。
「はぁ、はぁ……。魔法を使いすぎて、体力を消耗しただけだ……。怪我はしてないから……安心しろ……」
「お主、なかなかやるではないか。ここまでもったのはお主が初めてじゃ」
 アウストゥード様は、疲労を一切感じさせない顔つきで立っている。攻撃魔法より防御魔法のほうが体力の消耗が激しいことを抜きにしても、あの魔法を使った後にこんなに余裕でいられるのは、普通ではありえない。
「そうなん……ですか……。それは、嬉しい、です」
「少し、無理をさせてしまったかの?」
「いえ……。とても良い、訓練、でした。何より、あのアウストゥード様の、魔法を受けられて……良かったです」
「そう思ってくれるなら嬉しいのう。さて、そろそろ昼飯かの? お主、立てるか?」
「はい、何とか……」
「よーし。では、帰るぞ!」
 アウストゥード様は、勢い良く駆け出して行く……。
「あっ、ちょっと! 先に行くなら姿を消して……」
 もう、本当にマイペースな守護霊ご先祖様なんだから……。