#はじめんside
2人はもはや壁ドン状態で、何かを話し始めた。
話の内容はこっちまで
…聞こえないけど。
俺はなぜか、安堵のため息をした。
#あなたside
逃げるタイミングを逃したな。
私は、とろい自分に腹が立った。
美形が"ぐん"と迫ってくる。
両手は拘束されてもはや使い物にならない。
マホトもシルクとはじめん同様、ずっとファンだったし。
動画で悪いことをするような人ではない。
マホトは、私の耳に口を近づける。
すると、
優しい声が、震えるような声が、
耳にこだまする。
"運命"…
私の記憶が一瞬にして走馬灯のように蘇る。
フィッシャーズの運命的な出会い。
もし。あそこで当選してなかったら。
もし。フィッシャーズの存在を知らなかったら。
もし。私が存在していなかったら。
運命って、こういうことを言うの…?
そう言うとマホトは顔を戻し、私と向かい合う。
顔が"ぐっ"と迫ってくる。
キス_されるっ!!!
さすがの鈍感の私でも気づいた。
"チュッ"
的ははずれた。
私は、すぐに顔を右にそむけたから。
頬に投下した。
ハジメテノ接吻。
#はじめんside
2人は静かに顔を合わせたのが見えた。
驚きが隠せない。
すると_
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。