第46話

#「最初で最後」ユリウス夢【リクエスト】
932
2025/08/05 13:33 更新


ユリウス・ユークリウス
よければ、これを。


  彼は懐から小包を取り出して、私に差し出した。


ユリウス・ユークリウス
今日一日のお礼のようなものです。
要らなければ売って構いません。
あなた
えっ、いや、申し訳ないです…!
私はただ案内しただけなので…
ユリウス・ユークリウス
騎士としても男としても、
女性に借りを作ったままだなんて
笑い者にされても文句は言えません。
ユリウス・ユークリウス
私のくだらないプライドの為に、
どうか受け取っていただけませんか?


どうやら反論はさせてくれないようである。

私に罪悪感を感じさせないために
すらすらと言葉を並べる彼に圧倒され、
結局私は彼の言葉に甘えて小包を受け取ってしまった。


彼に確認をとってから小包の中を見ると、
綺麗な模様が刻まれた手鏡が入っている。
つい数ヶ月前に私は手鏡を落として割ってしまい、
購入を悩んでいたからこれは有難いことこの上ない。

私は思わず彼に何度も頭を下げた。


あなた
本当にありがとうございます…!
ユリウス・ユークリウス
いえ……貴方がいてくれてよかった。
その手鏡、処分に迷っていたんです。


彼の言葉に私は軽く首を傾げる。

処分を迷う。…もしかすると、
誰かへの贈り物だったのだろうか。

この手鏡に刻まれている模様は、
女ウケの良さそうな上品さがある。……と、
そこまで考えたところでいくら何でも失礼だと考え、
この下品な思考を中断した。


ユリウス・ユークリウス
…………



そんな私の様子を察してか、
彼は苦笑するようにその整った唇を動かす。


ユリウス・ユークリウス
………恋人に、渡すものだったんです。
ユリウス・ユークリウス
そんな予定は…消えてしまいましたが。


…振られてしまったのだろうか。

こんな美青年で礼儀正しい彼が
振られるなんて想像つかないが、
彼の表情を見るに予想は間違っていないようだ。

なんて勿体ないことを…と他人の私が言うのは
なんともおかしな話であるが、
そう考えてしまうのも無理はない。
彼があまりにも欠点のない好青年なのだから。

ユリウス・ユークリウス
変な空気にしてしまいましたね。


彼は苦笑して、私を見つめる。

ユリウス・ユークリウス
貴方を送りたい気持ちは山々なのですが、
どうにも用事が立て込んでいて。
ユリウス・ユークリウス
知り合いに送らせるので、
もう数分お待ち頂けますか?
あなた
いえ、一人で帰れます…!!
あなた
有難いお言葉なんですが、
一人で散歩して帰るのが好きなので…
ユリウス・ユークリウス
そうでしたか、それは大変失礼しました。
…それでは、ここで私は失礼しますね。
ユリウス・ユークリウス
貴方に、心から感謝を。


彼はそう言い残して、私に背を向け歩いていく。

この数分でなんとも私は彼に魅了されてしまったらしい、
彼の背中にほんの少しの寂しさを覚えた自分に驚く。


連絡先も交換していないし、
私はあまり街に来ることも無い。
この先、彼と出会うことはないのだろう。

  そう考えると段々と寂しさが増していくような気がする。
私は軽く息を吐いて、眉間を揉んだ。


あなた
……
  _____ 彼を振った女性って、どんな人なんだろう。

  他人の私が言うのはおかしいと理解はしているが、
勿体ない…というか、想像が出来ない。
あんなに優しくて、素敵な人が恋人で、
どんな不満があったのだろう。

彼にあんなに傷つけた表情をさせて、
どんな思いで振ったのだろう。







…………。



私は苦悩を振り切るように足を踏み出して、
柄にもなく彼を引き止めるように腕を掴んだ。





あなた
_____あのっ、
あなた
私なら!!!ユリウスさんに
そんな顔させませんけど!!!?





ユリウス・ユークリウス
___________。



彼はひどく驚いたように目を丸くして、
掠れた吐息のような「は」という声を漏らす。


男は度胸。女も度胸だなんて、
お母さんが言っていたような気がするな。と、
やってしまった感に苛まれながらそう思った。




お前がさせてるんだよ!!!!!
  続きます

プリ小説オーディオドラマ