なーくんには話したんだけど、夢を見たんだ
あの事件の夢
チェホが俺を殺そうとして、俺が······逆にね
ただでさえ俺嫌われてたのに、あのことでもっと最悪になってさ
周りはチェホが植物を使って暴れた本人って知らないから、ただ俺が女の子を殺したように思われてさ
それまでは俺に気づかれないように影で悪く言ってたのに、それからは堂々と周りで言われるようになって
なんともないフリしてたけど、やっぱり俺も辛くなってさ
あの時、俺が殺されていれば、俺が生まれなければ······って後悔ばっかりしてて
で、ある時、俺が壊れかけたことがあって
その時もいつも通りの悪口で。でも、最後の一言がきつくてさ······
俺、倒れそうになっちゃって
近くにいたジェルくんが支えてくれたんだけど···
そしたら、みんな俺がおかしい事に気づいてくれてさ
部屋に戻りながら振り返った時、泣きながら叫んでるコロちゃんが見えてさ······
掴みかかりそうなコロちゃんを抑えながら、相手を睨んでるジェルくん
いつもは冷静なナーくんまで······
部屋に戻ってから、サトミくんが来て
なんて言いながら庭にいた犬と猫とヤギと羊とハムスターと鳩持ってきてさぁ
流石に驚いたよね
んで、ルゥトくんはハムスターずっと持ってたし···
そうやって、俺のために色んなことしてくれたの嬉しくて······
あぁ、俺はこの人達のために産まれてきたんだ
俺がどうなろうと、この人達を必ず守ろう、って決めたんだ
私はそそくさと部屋を出ていき、ドアを素早く閉めた
そして開いている部屋に入り、鍵を閉めた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!