『…………さん、』
『………ぇさん、』
『おねぇさん。』
「はっ、………………」
ぱちっ、と目を開けると、目の前に男の子の顔。
鼻が高く目も大きい、正に美青年、って感じがする。
「あれ、私……………」
🐿『おねぇさん、こんな所でなにしてるんですか?』
辺りを見渡すと、住宅街のど真ん中だった。
なんで私ここに…………
「…………そうだ、」
今日私は長年付き合っていた彼氏に振られ、やけ酒をしてそのまま酔いつぶれ、こんな所で寝てしまっていたのだ。
🐿『へぇ、おねぇさん振られたんだ。笑』
「え?」
🐿『心の声ダダ漏れだったよ。おねぇさんかわいい』
ってふふっ、て笑うその子。
その子の後ろには、小さな車が停まっていた。
🐿『お家、送って行ってあげますよ』
「え、でも」
🐿『さぁ乗って。おねぇさん、立てる?』
と、私を立たせると車に乗せてくる。
「いいのに、」
と言いながら後部に座らせられる。
と、テヒョンも後部座席にすわって、ドアを閉めた。
🐿『おねぇさん。』
🐿『ちょっと僕と遊んでいきませんか?』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!