第7話

腐れ縁は立派なご縁
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2019/07/13 04:09
結局、涼真には何も聞けないまま……。
学校にいても、昨日の涼真のことばかり考えてしまう。

あれは、どういう意味だったんだろう?

涼真のことだから、ふざけてあんなことするようなタイプじゃないことは分かってるけど。

……じゃあ、あれは一体。

考えれば考えるほど、迷宮入りしそうだ。
紗和
紗和
……はぁ
翔太
翔太
お前なぁ、今日ため息何回目だよ!
見てるこっちが憂鬱になるっつーの
紗和
紗和
あれ?翔太、いたんだ……
翔太
翔太
俺がいることにも気付かないとか
重症すぎだろ、なんか悩んでんの?
このうるさい男、立花翔太タチバナショウタ
中学からの腐れ縁で、ずっと同じクラス。

ほんと笑っちゃうほど、一緒に過ごしてきた。
そんな、何かと気の合う男友達。
紗和
紗和
悩んでるって程じゃないけど
……いや、悩んでるのかな?
翔太
翔太
何意味わかんねぇこと言ってんだよ
翔太
翔太
ったく、しゃーねぇな!
今日久しぶりにカラオケでも行く?
翔太
翔太
悩んでたって解決しねぇよ
気晴らしも大事だろ
紗和
紗和
……カラオケ、か
確かにココ最近、放課後は涼真のお世話係っていう仕事があったから、真っ直ぐ帰ってたし。

カラオケなんて、ずっと行ってない。

翔太と最後に遊びに行ったのいつだろ?
紗和
紗和
いいね、行こ!!
歌いまくってストレス発散だ〜
翔太
翔太
んじゃ、決まり!
〜1時間後〜

何度も何度も確認してしまう涼真とのトーク画面。

私が送ったメッセージは既読がつかないまま。

……確か今日は、前々からドラマの撮影があるって言ってた日だっけ。
そうと決まれば……。


【今日はお世話係お休みするから!】

涼真とのLIMEのトーク画面でそれだけ打って送信ボタンを押した。

昨日のこともあって顔合わせづらいし、たまにはパーッと遊びに行ってやろう!
紗和
紗和
(帰ったら、お腹空くだろうなぁ)
紗和
紗和
(お風呂も沸かしといてあげなきゃ
沸くの待ってる間に寝ちゃうかも……)
紗和
紗和
(あ、でも涼真のことだから
シャワーで済ませるのかな)
って、授業中だってのに涼真の心配ばっかり。

もうすっかり涼真のお世話係が板に付いてて、我ながら呆れて笑っちゃう。

嫌々始めたくせに、今じゃ少しだけ楽しいとか思い始めてる。

何より、家賃を払ってもらってることには、本当に感謝してるんだよね。
〜放課後〜

カバンを肩にかけて、翔太の席へ向かおうとした私はブレザーのポケットで震えるスマホに気付いた。
紗和
紗和
も、もしもし?涼真?
涼真
涼真
LIME、今読んだ
涼真
涼真
なんだよ、休むって。
……体調でも悪いのか?
紗和
紗和
え?……あ、ううん!
そうじゃなくて!
涼真
涼真
なんだよ……違ぇのかよ
俺の心配返せ
紗和
紗和
り、涼真……心配してくれたの!?
涼真
涼真
は?うっせ!
休憩終わるから撮影戻る
じゃーな
一方的に切られた電話。
ツーツーツー、と機械音が鼓膜を震わす。

なのに、私の顔はどんどん緩んで……

”涼真が心配して電話をくれた”

たったそれだけの事でこんなにも舞い上がる。

わざわざ撮影の合間に心配して電話くれたんだって思ったらギュッて胸が小さく軋んだ。

やっぱり、今日のところは真っ直ぐ帰って、涼真のためにご飯もお風呂でも用意しようかな。
紗和
紗和
翔太〜!
やっぱり、今日パス!
翔太
翔太
は?
紗和
紗和
ごめん!
カラオケはまた今度行こう!
翔太
翔太
なんだよ、急に……
付き合い悪いやつ
紗和
紗和
ごめんってば!
今度、購買でなんか奢るから許して
翔太
翔太
……なに?お前、彼氏でもできたわけ?
紗和
紗和
えっ!?か、彼氏って……
予期せぬ翔太の言葉に、ドキッと効果音が飛び出た気がした。

頭をよぎるのは涼真の顔。

……違う違う!
涼真とはそんなんじゃないのに。
紗和
紗和
彼氏なんていないよ!
翔太
翔太
じゃあ……
翔太
翔太
彼氏になるの、俺じゃダメ?
夕暮れの教室。
初めて見た翔太の真剣な顔と、夕陽に照らされて紅く染まる私の顔。
紗和
紗和
……え?
私、今……告白された!?

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