第3話

学校では他人でよろしく
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2019/06/15 04:09
なぜかズカズカと私の部屋に上がり込んで、ルールを決めると言い出した神崎涼真にアタフタする。

だって、仮にもアイドルだよ!?
テレビで見る爽やかな笑顔なんて微塵も見られないけど、やっぱり本物のイケメンだ。

普段、学校で見てるクラスの男子とは悪いけどレベルが違いすぎる。


それが、自分の部屋にいるなんてあまりにも現実離れしてるんだもん。
やけにソワソワして落ち着かない。
涼真
涼真
ルールその1
お互いの関係は他言禁止
涼真
涼真
ルールその2
俺が呼んだら夜中でもかけつけること
涼真
涼真
俺がオフの時間とか、オフの日とか
なるべく家にいる時に呼ぶから、俺からの連絡はこまめにチェックしろよ?
紗和
紗和
わ、私にだって予定があるかもしれないし
呼ばれてすぐにって訳には……!
涼真
涼真
はい、却下。
今日から紗和は、何よりも”俺優先”
紗和
紗和
そ、そんな……!
涼真
涼真
ルールその3
面倒くせーからお互い名前で呼ぶこと
紗和
紗和
人の話、ちゃんと聞け!!
……しかも、名前で呼ぶの!?
涼真
涼真
なんか問題でもあんの?
涼真
涼真
俺は紗和って呼ぶし
俺のことは涼真でいい
紗和
紗和
そんな簡単に言われても……
涼真
涼真
んー、ルールつってもあんま思いつかねぇな
涼真
涼真
そうだ、お前学校どこ?
紗和
紗和
……新星高等学校だけど?
涼真
涼真
……は?
新星高等学校?
紗和
紗和
そんなに驚く?
実家から1番近いから受験したの
ここからも近いし、立地的にすごい助かる
紗和
紗和
そういう神……、涼真は?
あ、アイドルって学校とか行かないもん?
涼真
涼真
……俺も、新星高等学校芸能科の2年
紗和
紗和
……へ?
新星高等学校の芸能科?
紗和
紗和
ええええ!!!同じ学校!?
しかも、2年生って……先輩?
確かに、うちの学校には芸能科ってのがあったっけ。

芸能人とかって、どこか雲の上の存在だと思ってたから
同じ学校に通ってるってことを今まであんまり意識したことがなかった。

棟も違うし、会うことなんてそりゃもう極めて少ないけれど。

そうか。
涼真みたいなイケメンや、桁外れの可愛い子が同じ敷地内にゴロゴロいるのか。

改めて考えると……恐ろしいところに入学してしまったらしい。
涼真
涼真
ってことは、お前は1年生ってわけだ
涼真
涼真
もちろん学校では他人だから
俺との関係は一切、口外すんなよ
紗和
紗和
誰が言うかっての!
知られて困るのは私の方だし!!
涼真
涼真
じゃあ念のためルール追加な
その4、学校では他人同士を演じる
涼真
涼真
つまり、万が一どこかで出くわしたり
億が一接触するような事があったら
その時が俺たちの”はじめまして”だ
言ってる意味分かるな?と、私に尋ねる涼真に
コクコクと数回頷いてみせる。

こうして私たちの不思議な関係に、ルールが設定された。
〜数日後〜


私は今、猛烈に困っている。
涼真のお世話係を始めてからはや数日……。
俺様な涼真にイライラしながらも何とか家事をこなす日々。


が、しかし。早くも学校で遭遇してしまうかもしれないという大ピンチが訪れた。
茉由佳
茉由佳
早く早く〜!
紗和
紗和
ねぇ、茉由佳やめようよ!
茉由佳
茉由佳
ダメダメ!
こんなチャンス滅多にないんだから!
茉由佳
茉由佳
あの忙しい涼真くんが学校に来てるんだよ?
今日見に行かないでいつ行くのさ!
紗和
紗和
……じゃあ1人で行けばいいじゃん
と、言うのも親友の茉由佳が、学校に神崎涼真が来ていると言う噂を聞きつけて会いに行こう!と言い出したのが事のきっかけ。

ほんと、ミーハーなんだから!
茉由佳
茉由佳
あ、いたいた!涼真く〜ん!
茉由佳
茉由佳
きゃー!実物めっちゃかっこいい!
あ、こっち見た!!やばい!!
数人の友人に囲まれて何やら楽しそうに笑っていた涼真は

茉由佳の声で、私たちに視線を向けた。
バチッと絡む視線……最悪すぎる。
涼真
涼真
どうも、こんにちは
茉由佳
茉由佳
あぁ〜!!めっちゃ爽やか!
さすがnovaの王子様〜!
涼真
涼真
俺たちこれから体育で移動なんだ
せっかく来てくれたのにゆっくり話せなくてごめんね
茉由佳
茉由佳
とんでもないです〜!
もう眼福すぎて、午後も頑張れそう〜♡
申し訳なさそうな顔も上手。
さすがドラマにも引っ張りだこなだけあるわ……。

茉由佳はメロメロすぎて何を言ってもムダだろうけど。

フゥ、と小さくため息をついた私に、涼真が静かに近づいてくる音がして顔を上げれば

そのまま壁との間に挟まれて逃げ場を失った。
紗和
紗和
え、ちょ……!?
涼真
涼真
俺たちの関係、言ってねぇよな?
紗和
紗和
い、言ってないよ!!
涼真
涼真
……ならいいけど。
必要以上に会いにくんなよ
紗和
紗和
わ、私が来たくて来たわけじゃ……
茉由佳
茉由佳
うっそ!!!紗和が涼真くんに壁ドンされてる……
涼真
涼真
ごめん、髪にゴミがついてたから、つい
私の頭をひと撫でして、ニコリと王子様スマイルを繰り出す涼真。
それ見た茉由佳は”紳士〜!”なんてうっとりし出す始末。

……なにが、ゴミがついてたよ!!!

学校では他人だって、自分がルールまで作ったくせに。
小声とは言え素の状態で話しかけてくるなんて……!
紗和
紗和
……もう、ほんっといい加減なんだから
茉由佳
茉由佳
え?何か言った?
紗和
紗和
……んーん、こっちの話
どうしてだろう。
こんなやつ、ムカついて仕方ないのに。

───涼真が触れたところが、やけに熱い。

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