ヒョンジンside
メンバーが帰ってきて、真っ先にイエニがリビングに来た。
すぐあなたを探して部屋連れてってさ…
これ見てる俺の気持ちよ。
切ない、辛い、苦しい、…一言で言うなら嫉妬?
でもしょうがない、あなたはイエニの血がないと生きていけないんだもん。
それに、つい数日前にあなたがどんだけ辛い思いしてたのか間近で見てたし。
苦手な酒をあんなに飲むくらい追い込まれてたんだ。
嫉妬なんて言ってる場合じゃないよな。
黙って見送るのがあなたのためだと思って、引き止めたい衝動をぐっと堪えた。
リビングでおとなしくスマホをいじっていると、今度はチャンビニヒョンが来た。
この勢いだと、さっきイエニに連れられてイエニの部屋行ったよ、なんて言ったらきっと「じゃあ見てくるわ!」なんて言うんだろうな。
…だめだ、そんなことしたらあなたがヴァンパイアだってバレちゃうし、なにより2人を見送った俺の我慢が無駄になってしまう。
結局そうなるんかい。
なんとかして引き止めないと。
あーどうしよう、なんか言わないと。
…下手くそか、俺は。
でも思いつかないんだもん。
チャンビニヒョンを無理やりソファーに座らせ、あなたが早く戻ってきてくれることを願って顔を上げるとちょうどあなたとイエニが立っていた。
助かった。
けど手繋いで戻ってくるなんて聞いてないよ?
この前の件であなたとの距離が縮まったと思ったのに、今目の前にいるあなたを見てまた離れちゃったかなって思う。
…あなたに求められるイエニがずるい。
俺もあなたにとって無くてはならない存在になりたい。
あなたの隣は、俺がいい。
メンバー同士、1週間ぶりの再会なのに嫉妬ばかりしてしまう自分が嫌だ。
はぁ。
でも、この前あなたには好きだって伝えたし、もう怖いものなんてないよね。
よし、俺本気出すわ。
イエニにも、リノヒョンにも、もちろん他の男たちにも。
絶対あなたは渡さない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!