あいつが
僕のお願いを素直に聞き入れてくれたお陰で
あまり待たせずには済んだはずだけど
他にかけれそうな言葉は見当たらなかった
マシュマロから離れると
どうしていいのか分からないみたいで
立ち尽くしてる
それもそのはずだ
はっきりと言わないと伝わらないよね
押さえ込んだ気持ちは
溢れ出したら止まらない
それは僕が1番よく分かってる
ここへあなたと話をしにきた時に
痛いほどに感じたんだから
僕の胸に自分から入ってきたあなた
背中に回った手は震えていて
肩も涙を流すタイミングで揺れる
あなたの小さな身体を抱きしめてから
手を握って歩き出す
あなたの顔は見れない
きっと我慢できなくなる...
屋敷の扉の前で立つ男の元へ
あなたを導いた
決心したような強い眼差し
あなたはもう
僕の元へは帰ってこないだろうな
そう思ってしまった
あなたにはもう何も言わない
声を出せば震える
そんな情けない姿は見せられない
あなたの縋るような声に
足が止まりそうになるのを必死で堪えた
あなた愛してるよ
愛してたよ
誰よりも1番大好きだった
僕が幸せにしたかった
僕を見つめてくれてる気がするけど
後ろは振り返らない
マシュマロに飛び乗って
来た道を引き返す
風に乗れば涙も乾くだろう
この悲しい気持ちも
涙と一緒に流れてしまえばいいのに
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。